浴びるだけで皮脂や化粧汚れが早く落ち、肌の保湿作用もある「ファインバブル」。医療現場や工作機械、農業などで使われてきた技術で、近年はシャワーをはじめ洗濯機や浴槽などに応用され、一般家庭でも利用できるようになってきた。最も手軽に使えるアイテムとして、ファインバブルを発生する高機能シャワーヘッドの市場が拡大している。SDGsにも貢献するという注目技術、ファインバブルの特徴から見ていこう。
泡切れが速く肌触りがツルツルに
ファインバブルとは、直径0.1mmより小さい微細な泡のこと。産業分野では、機械の洗浄や医療機器の滅菌、農産物の成長促進など幅広く応用され、環境負荷が低いことから世界でも活用が進む技術。生活機器では2018年に初めてシャワーヘッドが登場し、洗濯機にも採用され、一般にも知られるようになった。
ファインバブルには、気泡の大きさによって2タイプある。直径0.001~0.1mm未満のマイクロバブルと、直径0.001mm未満のウルトラファインバブルだ。どちらも、汚れを吸着する作用を持つ。後者は毛穴の中の細かい汚れまで取り除けるのが特徴。シャワーヘッドを使って湯船に湯をため、つかるのもいい。
浴びるだけで肌の汚れが落ちる
ファインバブルに期待できる主な美容的効果は、毛穴やメイク汚れを吸着して取り除くこと、肌のキメが整うこと、角層水分量を保つことなどだ。頭皮毛穴の皮脂汚れも洗い流せるため、におい対策にもつながるという。
使ってみて実感するのは、せっけんの泡切れの速さと肌触りがツルツルになること。流水時間を短くでき、節水にもつながる。
ファインバブルを含むシャワーを顔に当てているだけで、顏についた汚れがみるみる落ちていくという動画を見たことがある人もいるだろう。
当てているだけで汚れが落ちるのは、ファインバブルの気泡の表面がマイナスに帯電していて、プラスに帯電する汚れなどの有機物に触れると、それを吸着してからめ取るからだ。
シャワーとして浴びるだけでなく、ファインバブルが溶け込んだお風呂につかるだけで、体をこすらなくても汚れが落ちるのだという。さらに気泡の刺激で体が温まりやすく、湯冷めもしにくくなるそうだ。入浴後の体表面温度の変化を比較した実験では、ファインバブル(マイクロバブル)を含む湯につかった後は、含まない湯につかった場合に比べて、入浴15分後の体表面温度が約3℃高く保たれていたという。
ファインバブルの有無で角層の水分量がどう変わるかを確認した実験もある。石けんで洗った手の甲にウルトラファインバブルを含む水と含まない水のシャワー(36.5±0.5℃、流量5±0.1ml/min)を40秒間ずつ当てて、その前後での角層水分量の変化を比較した。結果、ウルトラファインバブルを含む水を使用した方が、含まない水を使用した場合に比べ、手洗い後の角層水分量が約7.5ポイント高くなっていたという。