アプリに表示された広告をタップしたら怪しいサイトに誘導されてしまった。普段SNSでやりとりをしない友人から突然、SNSのダイレクトメッセージが来て、見知らぬ動画と共に「この動画はあなたですか?」と書かれていた。そんな経験、ありませんか? これらはすべて、個人情報の悪用に起因するものです。放置しておくと、知らずに加害者となってしまう可能性もあります。自分だけでなく、周りの人も守るために、セキュリティ意識を持つことは大切です。今回は、スマートフォン(以下、スマホ)の個人情報漏洩・悪用から守るための4つのポイントを紹介します。
テレワークの普及や外出自粛要請により、仕事やショッピング、友人との交流などでスマホを使う時間が増えた人も多いでしょう。アプリをインストールしたり、メッセージのやりとりをしたりと、スマホを使う機会が増加するほど気を付けたいのが、サイバー犯罪です。サイバー犯罪者はOSのぜい弱性を狙ってシステムに侵入し情報を盗んだり、個人情報を聞き出すための偽サイトへ誘導するフィッシングメールを送信したりと、さまざまな手口を使います。
警視庁が発表した「令和2年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、サイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、2020年は9875件と、前年9519件より356件増えています。
SNSやショッピングなどで個人情報を入力することの多いスマホは、サイバー犯罪者が欲しがる個人情報の宝庫なのです。
スマホ経由で個人情報が漏れる、盗まれる
個人情報は、名前や生年月日、メールアドレスといった、個人を特定するための情報から、銀行口座、クレジットカード番号、パスポート番号など、所持物を利用するための情報など、多岐にわたります。これらの個人情報は、入力をする側と求める側の信頼関係によって授受されるのが原則です。個人情報を受け取る側は、利用者の情報を保管し、利便性を高めるために活用します。ただ、中には、個人情報を盗み取って犯罪に利用したり、入手した個人情報を転売したりする者もいます。
個人情報が盗まれると、例えば、フィッシングサイト(偽サイト)に誘導されて追加の個人情報を入力させられる可能性があります。また、悪質アプリをダウンロードさせられて、スマホがハッキング(強引な不正アクセス)され、保存情報を丸ごと盗まれる危険性もあります。
さらに、通常の検索では表示されない(アクセスできない)「ダークウェブ」と呼ばれる裏サイトを通じて、個人情報が販売されたり、悪質なソフトウエアが拡散されたりもします。取引された個人情報は、SNSアカウントの乗っ取りなどで、不正使用されることがあります。
ウイルス対策やパスワード管理などのサイバーセキュリティ製品を提供する「エフセキュア」のセキュリティ・コンサルタント、ローラ・カンカーラさんは「サイバー犯罪からスマホを守るためには、4つのセキュリティ対策意識を持つことが大切」と言います。