世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

(上)異例の大統領就任式。米国は白人至上主義と決別できるか ←今回はここ
(下)大統領就任式でアマンダ・ゴーマンが見せた米国の未来

 2021年1月6日のドナルド・トランプ前大統領支持者による米連邦議会議事堂乱入事件からちょうど2週間後の1月20日、ジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領の就任式が行われた。米国に住む我々にとって、この2週間は、文字通り指折り数えるほど待ち遠しく感じるものだった。

 通常でも、11月の大統領選から政権移行までの2カ月間は長いと感じる。しかし今年は、それとはわけの違う長さだった。長いだけでなく、さまざまな不安と緊張に包まれていたからだ。

米連邦議会議事堂乱入事件に、驚きはなかった

 6日の事件が起きたとき、筆者は米連邦議会のテレビ中継を見ていたので、あの乱入もリアルタイムで見ていた。でも、不思議に驚きはなかった。あんなに簡単に議事堂に入って来られることには驚いたものの、あのような事件が起きたこと自体には「やっぱり起きたか」というのが正直な感想だ。

 それまでに多くの前兆があったし、むしろ選挙直後、トランプ前大統領支持派による暴動が起きなかったことのほうが不思議なくらいだと思っていた。20日の就任式ですべてが終わるまでは何でも起こり得る、と。

 暴動のせいで、大統領就任式の1週間前から首都ワシントンD.C.には空前の厳戒態勢が敷かれた。地下鉄も橋も止められ、米民泊大手のAirbnb(エアビーアンドビー)にいたっては、就任式前にワシントンでの予約をすべてキャンセルした。約2万5000人の州兵(現在、イラクとアフガニスタンに駐留している兵士の数を超える)に加え、警官や連邦捜査官が投入された。もちろんこんなことは、前代未聞だ。

大統領就任式の2週間前、1月6日の米議事堂へのデモ隊乱入事件を受けて、警備体制が強化された(写真:ロイター/アフロ)
大統領就任式の2週間前、1月6日の米議事堂へのデモ隊乱入事件を受けて、警備体制が強化された(写真:ロイター/アフロ)