世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

(上)長時間労働が女性の社会進出を阻む日本。なぜ休めない? ←今回はここ
(下)米国から見た日本 長時間労働がなくならない5つの理由

 日本へ出張するたびに「あぁ日本だ」と実感する光景の一つは、通勤電車で眠っている人の姿だ。また、昼間に東京・丸の内のオフィス街に行くと、ビル内のソファで熟睡するビジネスマンをよく見かける。外国人の同僚たちはこれを見るたびに面白がり、「日本人はなぜそんなに疲れているのか」と聞いてくる。

世界一睡眠時間が少ない日本人

 一つの理由は、慢性的な睡眠不足だろう。日本人の睡眠時間は、男女ともに世界標準より短いことが知られている。2019年の経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本人の平均的睡眠時間は1日当たり442分、つまり7時間ちょっとで、世界で一番短い。

 また世界的に見ると、女性は男性よりも睡眠時間が長い傾向があるが、日本は例外だ。「Sleep Cycle」というアプリ会社の調査によると、日本女性の平均睡眠時間は1日当たり5時間56分と、世界一短い。

 日本人の睡眠不足には複数の理由があるだろうが、長時間労働、長時間通勤、完璧主義がトップ3の要因ではないだろうか。また女性に関していえば、家事の負担だ。日本の男性が家事や育児に割く時間は、世界の先進国の中で最も短い。その分、女性が(専業主婦であろうがなかろうが)、一手にこれらの仕事を背負っている。

 ニューヨーク・タイムズは「日本のワーキングマザー、妻の過大な負担・夫の過少な支援」(2019年)という記事で、家事・子育て・仕事のいずれをも、大したヘルプも得ずに一人で完璧にこなさなくてはならない、多くの日本の女性が置かれている状況について述べ、これが彼女たちの社会進出を阻んでいると指摘している。

世界的に見ると女性は男性よりも睡眠時間が長い傾向があるが、日本女性の平均睡眠時間は1日当たり5時間56分と、世界一短い
世界的に見ると女性は男性よりも睡眠時間が長い傾向があるが、日本女性の平均睡眠時間は1日当たり5時間56分と、世界一短い