世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

(上)なぜ米国ではワクチン接種がズバ抜けた速さで進むのか ←今回はここ
(下)ワクチン接種で「得する」施策が続々 不信論者は減るか

 5月16日、米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によると、米国では2億7350万回を超えるワクチン接種が完了している。少なくとも1本のワクチンを打った人は、約1億5748万人(人口の47%、成人の約60%)。そのうち完全に接種が完了した人は、約1億2328万人(人口の37%)とのことだ。

 ジョー・バイデン大統領は、7月4日の独立記念日までに、成人の70%が少なくとも1回目の接種を終える目標を掲げ、「今年の7月4日を、ウイルスからの独立の開始を記念した特別なものにする」と宣言している。

ワクチンの開発も接種も驚くべき速さ

 米国でファイザーとモデルナのワクチンが認可され、接種が始まったのは昨年12月。このたびのワクチン開発のスピードは、医学の歴史を塗り替えるほどのズバ抜けた速さだったという。そして、1月20日の政権交代から今日までの4カ月間、米国におけるワクチン接種キャペーンの勢いもまた、特筆すべきものだった。まだコロナとの戦いの終わりは見えないが、トンネルの先にある光に向かって突進し始めた感がある。

 バイデン大統領は就任以来、ワクチンに関する明確な数値目標を宣言し、次々にクリアしている。就任時に宣言した「就任から100日で1億本のワクチン接種を完了させる」目標は、就任から59日目の3月19日に達成し、新たなゴールとして「1日で約300万回の接種を目標とし、就任100日目までに合計2億回のワクチン接種を行う」と、目標を倍増させる計画を発表した。

 4月3日には、1日に400万回の接種が達成され、就任100日目の4月29日には、目標だった2億回をゆうに超える数の接種が完了していた。

 現在は、すべての州で、成人が年齢にかかわらず接種を受けられる。ニューヨーク州も、4月6日からは16歳以上の誰もが接種を受けられるようになった。

 さらに、5月10日には、米国食品医薬品局(FDA)が12歳から15歳の子どもをファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用の対象に加えることを承認。12日にはCDCもそれを推奨する声明を発表したので、各州でこの年齢層への接種も始まった。

 ここまで急速に接種キャンペーンを推し進めたバイデン大統領のリーダーシップに対する評価は高まっており、5月10日に発表されたAP通信・公共問題調査センターの調査によれば、バイデンの新型コロナウイルス対策について「支持する」が71%、「支持しない」27%を大きく上回った。

5月には、12歳から15歳の子どもにもワクチン接種が始まった(写真:AFP/アフロ)
5月には、12歳から15歳の子どもにもワクチン接種が始まった(写真:AFP/アフロ)