世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

(上)なぜ米国ではワクチン接種がズバ抜けた速さで進むのか
(下)ワクチン接種で「得する」施策が続々 不信論者は減るか ←今回はここ

 前回、このコラムで紹介したとおり(「なぜ米国ではワクチン接種がズバ抜けた速さで進むのか」参照)、米国ではワクチンを受ける人の数が急速に増えている。筆者も3月から4月にかけて、ニューヨークでワクチン予約から接種までを実際に体験した。そして、その合理性と透明性の高さ、ロジスティクス設計の緻密さ、駆使されたテクノロジー、分かりやすい情報提供、オペレーションの効率性……すべてに感心した。別の会場で受けた友人たちも、似た感想を持っていた。

まるでベルトコンベヤー…あっという間に接種が終了

 どれほど効率的かというと、筆者の場合、2回の接種ともに、病院の玄関に着いてから出てくるまで30分という早さだった。アナフィラキシー反応の有無を経過観察する時間を除けば、わずか15分。まるで、ベルトコンベヤーに乗せられたかのようにスイスイと滞りなく進み、あっけないほどだった。

筆者は3月から4月にかけて、ニューヨークでワクチンの予約から接種までを実際に体験した。右の画像は予約完了を知らせるメール
筆者は3月から4月にかけて、ニューヨークでワクチンの予約から接種までを実際に体験した。右の画像は予約完了を知らせるメール

 病院のスタッフ誰もが、自分のすべきことを十分に理解し、やる気満々に業務をこなしている姿にも感心した。何か楽しいプロジェクトであるかのように朗らかに仕事をしている。

 よく考えたら、このように大量の市民にワクチンが打てるようになったこと、パンデミックの出口に近づいていること自体が、過去1年間苦しかったニューヨークの医療関係者たちにとっては、純粋にうれしいことなのかもしれないと思った。

 筆者にとっても、ワクチン接種完了は、この1年で最も気持ちが明るくなる出来事だった。もちろん、ワクチンを打ったからといって完璧ではない。変異種もあるし、実際、いくつかの州では、再び感染が増えている。でも、これでともかく一歩自由に近づいたという実感があり、この1年の息苦しさが少しだけ解けた。