世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

(上)大谷翔平がなぜ今、米大リーグで最も人々を熱狂させるか ←今回はここ
(下)世界で活躍する日本人・日系人選手が人々に与える影響

大谷選手の今季の数字は怪物並み

米ニューヨークのタイムズ・スクエアから遠くない米大リーグ(MLB)ストアの外壁に掲示された大谷翔平選手の巨大な写真も、米国での人気を物語る(撮影:渡邊さん)
米ニューヨークのタイムズ・スクエアから遠くない米大リーグ(MLB)ストアの外壁に掲示された大谷翔平選手の巨大な写真も、米国での人気を物語る(撮影:渡邊さん)

 最近、日本の友人たちから、「日本では毎日、大谷の活躍が大ニュースになっているけれど、大谷って米国でも本当にそんなに注目されているの?」とよく聞かれる。答えはイエスだ。「今シーズンの大リーグで最も人々を熱狂させている選手は誰か」と聞かれたら、答えは一択で大谷翔平。「It’s Shotime!(翔/Show の時間です! Showtime と Sho をかけての造語)」という言葉もすっかりおなじみになった。

 なぜか。まず、大谷選手が今季出している数字がどこから切っても怪物並みにずば抜けていること、投打二刀流で活躍しているというユニークさ、そして、「日本人選手はパワーで通用しない」という大リーグの通念を覆していることだ。

 7月25日、35号本塁打を打った彼は、本塁打数で今季のリーグをリードしている。この調子で行けば、バリー・ボンズ選手のシーズン歴代最多73本塁打(2001年)という記録を破る可能性もある。また、本塁打数だけでなく、7月20日現在、長打数も1位、長打率(6割9分8厘)もリーグ1位だ。

 このたび、大谷選手は投手と打者の両方でオールスターに選ばれた大リーグ史上初の選手となったわけだが、オールスター戦前夜の12日、日本人選手としては初めてホームラン・ダービーに出場した際も、始まる前から事実上の主役扱いで、カメラは暇さえあれば大谷を映している感じだった。

 結果的に、大谷選手は、ワシントン・ナショナルズのフアン・ソト選手に一回戦で敗退したが、それにもかかわらず、翌日のメディアのストーリーも、大谷選手にフォーカスしたもの、しかも彼を褒めたものが多かった。米国のスポーツ専門局「ESPN」の記事の「How Shohei Ohtani won the night without winning the Home Run Derby(大谷翔平はいかに、ホームラン・ダービーに勝つことなく、昨夜の勝者となり得たか)」というタイトルが彼の花形ぶりをよく表している。

(以下、渡邊訳)
大谷は「大リーグはかっこよくも面白くも楽しくもない」という考え方を、プレーする姿一つで無意味なものにしてしまう。

たとえ第一シードの大谷選手が、ホームラン・ダービーの一回戦でフアン・ソト選手に敗退したとしても、彼の仲間たちやケン・グリフィー・ジュニア選手、球場を埋めつくした5万人以上のファンたち、それ以外の何百万人もの昨夜のダービーを目撃した人々からの反応は、彼自身が何かを語るよりもはるかに大きな物語を語っていた。