世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街でビジネス・コンサルタントとして活躍する渡邊裕子さんが、米国から見た日本をリポートします。今回は、自民党総裁選から岸田新内閣誕生までの出来事が、米国からどのように見えたかについてです。

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(下)米国から見た日本 首相候補は「性別が女性」ならいいのか

「自民党は民意を無視して穏健な主流派を選んだ」米国の報道

 自民党総裁選に関する米国での報道は、全般に控えめだった。新政権誕生によって日本が大きく変わることはなさそうだという、冷めたトーンのニュースが多かった。自民党上層部が、“Maverick”(異端児)の河野太郎氏を推す民意を無視し、既存路線踏襲型の岸田文雄氏で押し切った、という論調になっていた。

 2021年9月29日のニューヨーク・タイムズは、「日本は複数の大きな問題に直面している。新リーダーは、大胆な解決策をほとんど提示していない:権力を掌握する与党は、民衆の希望を無視し、穏健な主流派を選んだ」という題の記事で、「自民党の実権を握るエリートたちは、党に忠実な穏健派である岸田文雄(64歳)を次のリーダーとして選んだ。これは、型破りな挑戦者を支持する民意を無視した決断に見える。これによって、彼らは、人気のない前任者・菅義偉、あるいはその前任者であり最長期間首相を務めた安倍晋三とほとんど変わりのない政治家を後継者として選定したわけである」と述べている。

 CNNは、「岸田氏は主流派の手堅い選択であり、安定を象徴する人物だ。アナリストたちは彼を、コンセンサスが取れる人物だと言う。しかし、岸田氏は民衆が次のリーダーに望んだ人物ではなかった。彼に対する国民からの支持はパッとせず、退屈という、彼につきまとうイメージを払拭できなかった」としている。これ以外のメディアも、岸田政権の今後を楽しみに期待しているとは言い難い報道が多かった。

 また、十倉雅和経団連会長が新政権を「非常にフレッシュで生きのいい内閣」と表現したと日本では報じられたが、日本国外とはかなり感覚が違うように感じた。

「非常にフレッシュで生きのいい内閣」──十倉雅和経団連会長が新政権をこう表現したと日本では報じられた。日本国外とはかなり感覚が違うように感じた (代表撮影/ロイター/アフロ)
「非常にフレッシュで生きのいい内閣」──十倉雅和経団連会長が新政権をこう表現したと日本では報じられた。日本国外とはかなり感覚が違うように感じた (代表撮影/ロイター/アフロ)