世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街でビジネス・コンサルタントとして活躍する渡邊裕子さんが米国の今を伝える連載も、今回が最終回。現在、米国でも社会課題になっているミソジニーについて、ドラマ「Sex and the City」の続編「And Just Like That…」に対して起きた女性蔑視発言を基に語ってもらいました。

(上)SATC 20年の歴史はミソジニーへ何を伝えるのか
(下)「女性の人生後半はつまらない?」ハリウッドの意識変化 ←今回はココ

男女の不平等に言及する米国の芸能界

 前編で「Sex and the City」の続編「And Just Like That…」に対するミソジニー(女性嫌悪)と、それに対する主演女優サラ・ジェシカ・パーカーの反論について紹介したが、近年、米国の芸能界では、男女の不平等な扱いについて糾弾する女性が増えてきた。幾つかの例を挙げてみる。

■テイラー・スウィフト:「男性が同じ質問をされるとは思えない」

 2019年、テイラー・スウィフトが、誕生日の少し前にドイツのラジオ局でインタビューを受けた。インタビュアーは、スウィフトがもうすぐ30歳になることに言及し、恋人のジョー・アルウィンと結婚し子どもを産む「ターニング・ポイント」になるかと尋ねた。スウィフトは、「男性が30歳になるときに同じ質問をされるとは思えない。だから今その質問には答えない」と、ダブル・スタンダードを鋭く指摘し、質問に答えなかった。

(Billboard JAPAN「テイラー・スウィフト、年齢に関する性差別的な質問に『男性が同じ質問をされるとは思えない』」より引用)

■ケイト・ブランシェット:「女性映画はニッチだという愚かな発想」

 ウディ・アレン監督の「ブルージャスミン」(13年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したブランシェットは、受賞スピーチでこう話した。

 「この業界では、女性たちを中心に据えた女性映画はニッチだという愚かな発想に、いまだに取りつかれている人たちがいます。でも、そんなことはありません。観客はそういう作品を求めています。そして、そういう作品は実際にお金を稼いでもいます」

(VOGUE「ケイト・ブランシェット──心に残る女性たちのオスカー・スピーチPart6」より引用)

■ケイト・ブランシェット:「それは絶対に男性には聞かない質問ね」

 14年のカンヌ映画祭で「どうやって撮影と子育てを両立しているのか」と問われたブランシェットは、「それは絶対に男性には聞かない質問ね。女性にだけ向けられるものよ」「2014年になってもそうなのかと思う。私たちの業界だけではなく、すべての業界が同じ。本当に驚いてしまう。ときどき自分が中世に逆戻りしたんじゃないかと思うくらい」と述べた。

(ELLE「ケイト・ブランシェット、カンヌで怒る」より引用)