ITサービスのトレンドをITライターの鈴木朋子さんが解説する本連載。今回のテーマは「メタバースとバーチャル店舗」です。メタバースとは、「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語で、アプリやブラウザー上に構築された仮想空間のこと。2021年10月にFacebook社が社名を「Meta(メタ)」に変更するなど、国内外でメタバースに注力している企業が増えています。私たちの生活に身近な企業も、メタバースでオンライン店舗をオープンしているのをご存じですか。今回は、メタバースの解説と各企業におけるバーチャル店舗の取り組みを紹介します。

仮想空間に渋谷や原宿の街が現れた

 企業と自治体が連携してメタバースに取り組んでいる例もあります。渋谷区観光協会とKDDI、渋谷未来デザインは、バーチャルイベントプラットフォーム「cluster」に渋谷区公認の「バーチャル渋谷」を2020年5月から提供しています。バーチャル渋谷には、渋谷駅前のスクランブル交差点など、渋谷駅前が再現されています。2021年5月には、新エリアとして「原宿」を拡張しました。

神宮前交差点エリアを中心に、バーチャル空間内でリアルな街並みを再現している(クラスター/提供)
神宮前交差点エリアを中心に、バーチャル空間内でリアルな街並みを再現している(クラスター/提供)

 バーチャル渋谷を利用するには、cluster内にあるバーチャル渋谷にアクセスします。clusterのアプリ、またはPC版をインストールし、アカウントを作成して利用します。Windows版は、VRヘッドセットに対応しています。アバターを選ぶとそこはバーチャル渋谷の世界。渋谷に行ったことがある人なら、見覚えのある景色が再現されています。

 バーチャル渋谷では2021年10月、「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021」が開催されました。アバタープラットフォーム「AVATARIUM」との連携により、自分の写真で作成したアバターでバーチャルのイベント空間を楽しめました。ハロウィーンアバターコンテストや写真展、ゲームセンターなどが用意されていました。

 さらに、ヒップホップユニット「Creepy Nuts」やロックバンド「MY FIRST STORY」、ダンス&ボーカルユニット「新しい学校のリーダーズ」によるバーチャル音楽ライブも開催されています。

 メタバースの提供には、clusterのような仮想空間を提供するプラットフォームが活用されます。事業者はプラットフォーム上にサービスを構築します。プラットフォームは、後述する「VR法人HIKKY」や「VRChat」、「バーチャルキャスト」など、海外、国内ともに多数の企業が提供しています。

 clusterではJRA公認の「バーチャル競馬場 powered by SAO」や、学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校およびS高等学校の入学式など、さまざまなオンラインイベントも開催されています。法人だけでなく、個人が仮想空間「ワールド」を作成したり、イベントを開催したりすることもできます。