ITサービスのトレンドをITライターの鈴木朋子さんが解説する本連載。今回のテーマは「進化するベビーテック」です。ベビーテックとは、「Baby」×「Technology」を表す言葉で、妊娠から乳幼児の育児に役立つテクノロジーを指します。今回は12月1日、2日にパパスマイル主催で開催された「BabyTech Award Japan 2021」で受賞したサービスの紹介と、トークショーのリポートをお届けします。
米国がいち早く注目した「ベビーテック」
近年は「FinTech(金融)」や「AgriTech(農業)」など、あらゆる業界に最新テクノロジーを組み合わせることで新たなサービスを生み出す動きが加速しています。育児業界も例外ではなく、「BabyTech(ベビーテック)」が注目を集めています。ベビーテックは、母親の産後の職場復帰が早い米国から普及が進んだと言われています。
日本も共働きの家庭が増えています。男女共同参画局が行った「男女共同参画白書 令和2年版」によると、共働き世帯数は専業主婦世帯数の2倍以上です。核家族も増え、これまで日本で行われてきた育児のスタイルでは立ち行かなくなっています。
子育てには、大変な労力と精神力が必要です。特に、妊娠から乳幼児までの時期は夫婦2人で力を合わせても乗り切ることは難しいもの。育児の負担をテクノロジーで軽減することにより、親子とも幸せな時間を過ごせることが望まれています。
国内では、BabyTechメディア「Babytech.jp」を運営するパパスマイルが、ベビーテックの認知拡大や取り組みの推進に向けて積極的に活動しています。今回は、2021年12月1日、2日に開催された「保育博2021-保育・教育ビジネス&サービスフェア-」において、パパスマイルが発表した「BabyTech Award Japan 2021」の受賞作品を紹介します。
妊娠や育児で「パパ」が知っておくべき情報を提供するアプリ
「BabyTech Award Japan」は2019年より開始されたコンテストで、2021年は「授乳と食事」「学びと遊び」「安全対策と見守り」「妊活と妊娠」「健康管理」「記念と記録」「保育ICT」「リサーチ・研究」の8部門について、大賞と優秀賞が選定されました。一体、どのようなサービスが大賞を受賞したのでしょうか。
ナビゲーションサイト「NAVITIME」が2021年3月に提供を開始したサービスで、赤ちゃんや子どもとのお出かけをサポートする。子どもの移動手段を「ベビーカー」「抱っこひも」「一緒に歩く」の3つから選択すると、最適なルートが表示される。
一緒に歩くなら距離の短さ、抱っこひもなら階段の少なさ、ベビーカーならエレベーターなどを優先。乗り換えの所要時間も子ども連れの歩行スピードに合わせて表示する。外出先の授乳室やおむつ替えの場所検索も可能。
読み手と書き手がそれぞれ別のデバイスを使う紙芝居アプリ。2台をBluetoothでつなぎ、読み手がデバイスを見ながら物語を読み、聞き手は別のデバイスに表示されている絵を見ながら話を聞いて楽しむ。デバイスはスマホ、もしくはタブレットを使用する。対応はiOSのみ。
肌着に装着したトランスミッター(電波送信機)によって、園児の体調不良を保育士が未然に察知するためのサービス。体調は専用アプリで確認できる。加速度センサーや心拍センサーにより、お昼寝中の体の動きや体調不良を検知する。SIDS(乳幼児突然死症候群)の発症リスクを低減させる目的も持つ。
妊娠から育児中まで、パパが知っておくべき情報を提供するパパ専用アプリ。妊娠中は、出産までの日数や週数、ママの体の様子や赤ちゃんの状態、今後のスケジュールなどを確認できる。育児中は育児に関する情報、そしてお祝い事や成長の目安がわかる「成長スケジュール」を無料で購読できる。
チャットでの健康相談、オンライン診療、自宅への往診が受けられる医療サービス。病院が開いていないことの多い夜間や祝日などで体調不良になった場合でも、対応してもらえるのがうれしいポイント。