国の目標が「2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度」だったにもかかわらず、21年度の「雇用均等基本調査」(厚生労働省)では、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は12.3%にとどまり、依然として女性の管理職登用は課題です。そんな中、自分の目標とするキャリアを築き、課長として活躍する女性たちは、どのような思いで仕事と向き合っているのでしょうか。今回は、ゴールドウインの販売本部のEC販売部でマネージャーを務める関瀬里さんに話を聞きました。
2007年 早稲田大学人間科学部健康福祉科学科卒業。ゴールドウインに入社し、営業職としてアウトドアブランドの百貨店店舗を担当
2009年4月 THE NORTH FACE事業部ウィメンズ商品企画職へ異動
2012年1月 一身上の都合で退職。アロマテラピーのインストラクター資格の取得、食品メーカーの営業職、専門学校で「Illustrator(イラストレーター)」を学び、イラストレーターのアシスタント職などを経験
2019年4月 ゴールドウインに再入社し、EC販売部販売1グループに配属。自社ECサイト “GOLDWIN WEB STORE” 運営職に従事
2021年4月 EC販売部販売1グループ リーダー(係長職)に就任
2022年4月 EC販売部販売1グループ マネージャー(課長職)に就任
【家族構成】
夫と2人家族
一度離れて、会社の良さに改めて気づいた
私は、アウトドアブランドを手掛けるゴールドウインを一度退職した後、自分探しの期間を経て、2019年に再入社し、22年にマネージャー(課長職)に就任しました。
小さい頃から、サッカーやラグビーなどのスポーツ観戦が趣味で、健康やスポーツ科学を学べる大学に進みました。将来は、スポーツを楽しむ人のために、商品やサービスを考える仕事がしたいと思い、07年にゴールドウインに入社。顧客のニーズ把握や、スポーツシーンにあったら便利な商品のアイデア出しから始まり、実際の商品ができ上がるまでの過程に携わるなど、メーカーの醍醐味を味わいながら、がむしゃらに働いていましたね。
そんな中、一度職場を離れたのは、結婚を機に自分を振り返ったとき「私が本当にやりたいこととは何だろう」という問いにぶつかったからです。一度立ち止まって考えた末に出した答えは、退職して、これまで全力で仕事をしてきた分、今度は自分が挑戦したいと思っていたものと向き合ってみようということでした。
ゴールドウインを離れていた7年間は、アロマテラピーのインストラクター資格を取得したり、栄養価の高いアサイーという果実を扱う食品メーカーで営業職を経験したり。クリエーティビティーを高めるため専門学校で「Illustrator」を勉強して、のちにイラストレーターのアシスタント職も経験しました。すべて、健康や体、スポーツに加えて、表現力のスキルアップにもつながることで、当時の私に必要なことだったと思っています。
また、ゴールドウインの外に身を置いたことで、ゴールドウインが競技スポーツだけでなく、個々人がそれぞれのペースで楽しめるスポーツも網羅している企業であることに改めて気づけたのは、その後のキャリアを築く上で大きかったですね。
スポーツ好きの私にとって一大イベントである21年開催の東京2020オリンピック・パラリンピックを前に自分を見つめ直したとき、「ゴールドウインでもう一度働きたい」と思うようになりました。これから日本でスポーツが盛り上がっていく時期に古巣に戻って貢献できたらと、19年4月に再入社。EC販売部に配属となり、現在もそこでECサイトの運営に関わる業務を担当しています。
突然の昇進打診で「思考停止」に
外部セミナーなども活用しながら、業務には1年ほどで慣れることができました。21年にリーダー(係長職)、その1年後にマネージャー(課長職)に就任。まさかそんなすぐに昇進するとは夢にも思っておらず、マネージャー職への昇進を打診されたときは思考が停止してしまいました。そして、最初に抱いた感情は、「私には荷が重すぎるかも……」。
今振り返ると、私が感じていた「荷の重さ」は、あって仕方がないものだと考えています。そのくらいのものを背負わないと、マネージャーとして決断することへの責任は持てません。責任を負うからこそ得られるものが多くあったとも実感しています。