2020年度、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は 12.4%にとどまりました(厚生労働省、雇用均等基本調査)。そんな中、東証1部上場企業では、どのような課長職の女性たちが活躍しているのでしょうか。今回は、デンソーのシャシーコントロール機器品質保証部課長・天野恭子さんです。
2005年 大阪大学大学院基礎工学研究科 卒業
2005年 デンソー入社 EPS機器部に配属(担当製品 VGRS ソフト設計)
2010年 品質保証部門に異動。製品開発プロセス構築に従事
2013年 産休・育休
2014年 復職。ステアリング製品の安全設計監査を担当
2016年 産休・育休
2017年 復職
2020年 課長職昇格
2021年 品質企画・規格監査
【家族構成】
夫と息子2人(5歳・8歳)の4人家族
先輩全員がロールモデル 産休・育休前には会社からの支援も
私は子どもの頃から理科や数学といった理系の教科が大好きで、大学と大学院では工学を学びました。研究職に進む形ではなく就職を選んだのは、何らかの形で社会の役に立ちたい気持ちがあったからです。モーターショーでメーカーとしての安全性などの取り組みを見て共感したことがきっかけとなり、デンソーに就職。
入社後はEPS(電動パワーステアリング)機器部に配属され、可変ステアリングであるVGRS(Variable Gear Ratio Steering、バリアブル・ギア・レシオ・ステアリング)製品のソフト設計に5年従事。VGRSは主に高級車に搭載されるステアリング製品で、駐車時は少しのハンドル操作で大きく曲がり、高速での運転時はハンドル操作に対して穏やかに反応し、安定感のある走行ができます。EPS機器部自体は大人数でしたが、VGRSは5~6人の小さなチームでした。
2010年に品質保証部門に異動。自動車でソフトが果たす役割が増えていく中で、ステアリングは特に安全を左右する製品の一つです。この部門では製品開発プロセスの構築を担当し、外部の認証を受けながら安全性の高い製品作りを強化していくことが業務内容となりました。
職場は、メンバーの頑張りに対して感謝を声に出していく、メンバーがやりたいことを支援する、といった雰囲気に満ちていて、職場の先輩が全員ロールモデルのような環境の中で、仕事をしてきました。
2013年と2016年に産休・育休をそれぞれ1年ずつ取得。休職中には会社の状況を聞き、こちらの子育ての状況を話すなどの連絡を取り合う機会がありました。部署の現状を把握した上で復職をするというステップを踏み、復帰後は2~3カ月程度の時短勤務を選択しました。
後輩の女性社員が先に産休・育休を取得し、その後も復帰していたので、経験者が身近にいたのは心強かったですね。それに加えて、産休・育休前の社員が復職した社員と情報交換ができる女性社員同士の交流会もありました。