2020年度、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は 12.4%でした(厚生労働省、雇用均等基本調査)。19年度の11.9%から0.5ポイント上昇しましたが、まだまだ女性の管理職登用は課題です。そんな中、東証1部上場企業には、自分の目標とするキャリアを築き、課長として活躍する女性たちがいます。どのような思いで仕事と向き合っているのでしょうか。今回は、東京エレクトロンFS二部営業支援グループリーダーの山本江美さんに話を聞きました。

山本 江美 (やまもと・えみ)さん(48歳)
山本 江美 (やまもと・えみ)さん(48歳)
東京エレクトロン FS二部 営業支援グループリーダー
■課長(リーダー)職昇格は、入社19年目、41歳
【略歴】
1996年 法政大学 工学部 経営工学科 卒業
1996年 東京エレクトロン入社 情報システム部 基幹システム構築に携わる
2001年~2004年 グローバルIT企画室
2004年~2011年 グローバルサービス戦略室
2012年~2015年 フィールドソリューション事業企画部
2015年 フィールドソリューション事業企画部 営業支援グループのGLに着任
顧客向けウェブサイト運営の延長として、現場フィールドエンジニアの業務効率化を支援する仕組みの導入企画と実行を担当

「アンテナを張る」「機を逃さない」がキャリアアップのカギ

 学生の頃から理数系の教科が好きで、将来は事業とIT技術をつなぐ役割を担える仕事に就きたいと思っていました。入社後、情報システム部に配属され、基幹システム構築を担当。2001年にはグローバルIT企画室に異動し、顧客向けに、販売した装置に関する情報を提供するためのウェブサイトの立ち上げに関わりました。この仕事は事業とITをつなぐという学生の頃からの希望でした。また、この部署ではプロジェクトマネジメントの基礎を学ぶこともできました。

 グローバルでのさらなる売上高増加を背景に、04年には業務効率化を目的に新設されたグローバルサービス戦略室に異動。顧客向けウェブサイトを利用したサービス業務のサポートや企画を手がけることになりました。メンバーは10~15人で、部長は米国人。仕事そのものも、全体を俯瞰(ふかん)する立場になりましたし、コミュニケーションは英語中心になり、グローバルIT企画室にいたころに比べて業務内容や進め方ががらりと変わりました。

 中でも、海外の現地法人とプロジェクトを連携して進める機会が増え、文化や法律の違いがある中で意識や目標を統一していくことの難しさを痛感しました。各現地法人の意見や文化を尊重しつつ、会社全体としての目標や意向を、理解が得られるまで丁寧に説明することを地道に続けましたね。必要に応じて、交渉したい内容に詳しい人に相談したり、現地法人のリーダー層の人を巻き込んだりもしました。時間はかかりましたが、最終的にグローバルで業務を統一することに成功し、プロジェクトを通して人脈も世界中に大きく広がりました。12年には、世界中に販売した製品のアフターサービス、サポート事業を手がけるフィールドソリューション事業企画部に異動。前部署で2004年から取り組んでいた顧客向けウェブサイトを、更にビジネスと結びつけるような企画支援に携わりました。

 管理職を意識し始めたのは、ちょうど顧客向けウェブサイトが立ち上がってきた時期から。このとき、会社にとって欠かせない役割を任されていると感じたのもきっかけの1つです。ですが、なによりも、プロジェクトを進めていく中で「1人ではプロジェクトを進めることができない。メンバーの力が必要だ」と気づいたことが大きかったです。そのとき自分が先頭に立ってプロジェクトを進めたいと思ったんですよね。管理職を意識し始めてからは、部署で掲げている目標に沿って結果を出すことに努めました。

 15年には、同部署の営業支援グループのグループリーダー(課長職)に着任。打診を受けた後、課長に就くための泊まり込み研修に参加しました。研修では、リーダーとしての考え方や、部下との接し方に関するレクチャーを受け、チームに分かれてロールプレイングを体験。工場も含め、いろいろな部署の課長が参加していたため、多様な意見や考え方を知ることができ、刺激を受けました。

 私は、「こういうビジネスがくるだろう」など世の中の動きを追ったり、今取り組んでいる仕事は本来どこでやるのが最適かを考えたり、常にアンテナを張っています。そのとき、やりたい仕事や異動したい部署があれば、担当・異動できるチャンスを逃さないよう、時には能動的に自分自身をアピールしてキャリアを切り開いてきました。チャレンジ精神を尊重してくれる当社の社風や周囲の理解、サポートもあり、身近な目標を明確に持ち、それをクリアすることで、私自身キャリアを築けていると実感しています。

管理職は「ここだ!」というタイミングで物事が進められる

 当社は半導体製造装置メーカーとしてグローバルのお客様への製品販売が増え、世界最大のインストール済装置を持つ企業に成長しました。例えば、現在は世界に約7万8000台の納入済装置があって、1年に約4000台ずつ増えています。そのアフターサポートは、できるだけ早く、よりよいものにしていかなければなりません。幸い、昇進したことで指示系統が明確になり、周りの協力体制が、より得やすくなりました。

 課長になると、会社のミッションの達成に向けて、チームとして貢献することができるか、という点に責任を持つことにもなります。その代わり、自分が「ここだ!」と思うタイミングで物事を進めることができます。もちろん社内での調整が必要になりますし、提案は相手の利益にもなることでなければ前に進まないため、そこもよく考えます。

 例えば、現場の効率化のために、ある仕組みを導入し、グローバルに展開することを提案していたのですが、反対が根強く、提案しては消え、という状態でなかなか実現しませんでした。そこで、どんな体制が必要なのかを考え、国をまたいで関係者を巻き込んでいき、協力者を増やしました。意識したのは、相手と自分のやりたいことや双方のメリットを実現すること。もちろんメンバーとは仕事以外でのコミュニケーションも重視し、協調性を大事にしながら進めました。私の場合、お願いするときには回りくどいことはせず、単刀直入に話して理解を求めます。試行錯誤の結果、提案がようやく承認され、今ではその仕組みは、世界中に広がっています。