2020年度、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は 12.4%でした(厚生労働省、雇用均等基本調査)。19年度の11.9%から0.5ポイント上昇しましたが、まだまだ女性の管理職登用は課題です。そんな中、東証1部上場企業には、自分の目標とするキャリアを築き、課長として活躍する女性たちがいます。どのような思いで仕事と向き合っているのでしょうか。今回は、旭化成 基盤マテリアル事業本部ポリエチレン事業部サンファイン営業部 課長の梶田絵美子さんに話を聞きました。

梶田 絵美子(かじた・えみこ)さん(45歳)
梶田 絵美子(かじた・えみこ)さん(45歳)
旭化成  基盤マテリアル事業本部 ポリエチレン事業部 サンファイン営業部 課長
課長職昇格は、入社17年目、40歳
【略歴】
2000年 京都大学 経済学部卒業
2000年 旭化成工業(現旭化成)に入社 繊維事業部門 不織布事業部 スパンボンド営業部に配属(大阪) ※会社名、部署名は当時のもの
2006年 同営業部の東京担当に異動(東京)
2013年 産休・育休取得(12カ月)
2014年 復職(産休前と同じ部署)
2016年 課長昇格
2020年 基盤マテリアル事業本部 ポリエチレン事業部 サンファイン営業部に異動

【家族構成】
夫と息子(8歳)の3人家族

不織布事業部に配属。ベテランのチームメンバーから仕事の基礎を学ぶ

 事業範囲が多岐にわたり、事業を通じて多くのお客様と関わることができる、そうした仕事のダイナミックさに魅力を感じ、旭化成に入社しました。携わる事業について熱く語る先輩社員と就活で交流し、社風を知ったことも動機の一つです。

 入社後は繊維事業部門に配属され、紙オムツ、マスクなどに使われる「スパンボンド不織布」の営業を担当しました。課長、先輩、新人の私という3人のチームで、20歳と10歳ほどと年齢の離れたベテランの2人から、仕事の基本を学びました。

 当初は営業の仕事に苦手意識がありました。しかし、現場で一つひとつ学びながら、取引先企業との関係を築いていくことの楽しさを理解してからは、やりがいを感じるようになりました。そして、営業としてもっとスパンボンド事業に貢献していきたい、とはいえ新たなチャレンジも必要だなと考えていたとき、同じ営業部の東京担当に。06年から新たな場所で気持ちも新たに、営業としての経験を積むことができました。その後20年まで、同部に所属することになります。

仕事と子育てが両立できるのか。課長職を迷った理由

 チームの上司(課長)が異動することになった際、後任の課長職を打診されました。正直びっくりしてしまいましたし、実際に課長になるかどうかについては悩みました。その理由は、当時は子どもが3歳で、私はまだ時短勤務中だったことです。子どもがまだ小さいこの状態でできるのだろうか?と迷いつつも、私は仕事がやっぱり好きだし、途中でやめてしまうことは考えられない。そうなると今、昇進したほうがいいのだろうか……。

 いずれにしても、家庭との両立がカギとなりますので、まず、夫と子どもに聞いてみました。幼い子にどこまで伝わったのかは不明なのですが、2人とも応援すると言ってくれました。育休明けのときから、週1回は夫が早く帰宅して、私がフルに働く時間を取れるようにする体制はできていたので、ではやってみよう、ということになりました。

 課長に就任した当時は、私含めて5人のチームで、営業のメンバーが2人、社内業務を担当するメンバーが2人でした。

 いざ課長になってみると、まず、入ってくる情報の質と量が変わりました。良質な情報を多く得ることで、事業全体にどういう課題があり、どういう議論がされているかが、より明確になりました。そして、これは職種が営業だからかもしれませんが、自分に時間制約のある中で、時には自分の予定に合わせて仕事のスケジュールを決められることも、とても助かりました。