国の目標が「2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度」だったにもかかわらず、21年度の雇用均等基本調査(厚生労働省)では、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は12.3%にとどまり、女性の管理職登用は課題です。そんな中、自分の目標とするキャリアを築き、課長として活躍する女性たちは、どのような思いで仕事と向き合っているのでしょうか。今回は、ロート製薬のプレステージスキンケア事業部でマネージャーを務める松村鮎美さんに話を聞きました。
2001年 群馬大学工学部生物化学工学科(現/理工学部化学・生物化学科)卒業、ロート製薬入社。ドラッグストアや代理店への営業担当としてヘルスケア事業本部第一営業部東京支部に配属
2005年 店頭での販促プランを担う営業企画部に異動
2006年 第1子の産休・育休取得
2007年 復職。営業企画部内で市場分析を行うチームに異動
2010年 第2子の産休・育休取得
2011年 復職。東京都、神奈川県エリアのドラッグストア・代理店への営業担当としてH&B事業部東京支部に異動
2012年 第3子の産休・育休取得
2014年 復職。ドラッグストア以外の営業を管轄している営業開発部に異動
2019年 同部門でリーダー職に就任。GMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア:総合スーパー)やバラエティーコスメ業態を管轄
2021年 同部門でマネージャー(課長職)に就任
2022年 マーケティング部門プレステージスキンケア事業部に異動。マネージャーに就任
【家族構成】夫(44歳)、長女(17歳)、次女(12歳)、長男(10歳)、犬(1歳)
「子育てしながら時短勤務の営業職」の先駆けに
大学での専門は工学で、研究職を目指す友人も多い中、営業職を選びました。学んできた専門分野と、人と話すことが好きという自分の強みや性格を生かせるのではないかと考えたからです。就職先は日常で使用する薬から化粧品まで製品のラインアップが幅広いロート製薬を志望しました。入社後はドラッグストアやバラエティーストア(雑貨店)、代理店への営業担当として、仕事の基礎を学びました。
2005年には販促プランを考案する営業企画部に異動となり、約5年の在籍期間の前半は化粧品ブランド「肌ラボ」「オバジ」などの販促企画、後半は市場分析を担当。同部門にいる間の06年と10年に産休・育休を約1年ずつ取得しています。私は合計3回の産休・育休を取得しましたが、特に1人目のときは現在と比べると会社のサポート体制が整っていない状態だったので、試行錯誤の連続でした。
当社では上司に相談できる雰囲気があり、復職後の子育てと仕事のよりよい両立について上司と話し合いました。07年の復職後に市場分析のチームに異動したのも、商品の営業企画と比べると出張が少ないなど、ワーク・ライフ・バランスを考慮した結果です。
2人目の産休・育休の後、東京都、神奈川県エリアのドラッグストア・代理店への営業担当としてH&B事業本部に異動しました。11年当時、子育て中で時短勤務の社員が営業部員になった前例はなく、会社としても手探り状態だったと思います。ですが、上司もチームメンバーも理解があり、仕事の進め方について話し合った結果、時間的な制約で手薄になってしまうところは上司にサポートしてもらう形をとり、業務をこなしていきました。
3人目の産休・育休後の14年からは、ドラッグストア以外の営業を管轄する営業開発部に異動。ドラッグストア以外の営業、という幅広い業務の中で、私はバラエティーストアでの経験が長かったため、主にその分野を任されました。