「今の時期に残業すると、少し損するかも」「リモートワークで通勤手当が廃止されたけれど、実はそれが将来の年金額にまで影響!」……知っていましたか? 私たちが損をせず、制度を十二分に生かして働いていくために必要な「仕事とお金と制度」の基本を、人気ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんが毎月「カレンダー」感覚で解説。5月のテーマは「社会保険料」です。

 「春に残業すると損」と聞いたことはありませんか? これは、給料やボーナスから天引きされる社会保険料のことを指している言葉です。でも、そもそも社会保険料が決まる仕組みを知らないと、「なぜ損するの?」という疑問が湧いてくるのでは。

 また、昨今の在宅勤務急増を受けて通勤手当を廃止する企業が増えてきましたが、これも社会保険に関わってきます。

 今回は、社会保険料が決まる仕組みについて学んでいきましょう。

社会保険料の計算方法は?

 広義で「社会保険」というと非常に多くの分野を指しますが、手続きなどの面から健康保険と厚生年金保険をセットで「社会保険」「社保」と呼ぶことが多々あります。まず、これを覚えておくと知識や情報を得る際に分かりやすくなるのでオススメです。

 かつて、この健康保険と厚生年金保険の一定手続きは「複写」の書類で同時に行っていたほど、共通事項が多いのです。

 さて、社会保険料を計算するためには、基本給だけでなく、残業代(時間外・休日割増賃金)、通勤手当などの合計額から、まずは計算の基となる金額・「等級」を決めます。高い「等級」になればなるほど社会保険料も高くなっていきます。

 この等級を決めるときの金額に、「通勤手当」も含まれることは知らない人は多いのではないでしょうか? 最近は通勤手当の廃止の声が聞こえますが、通勤手当の支給額は社会保険料にも影響があるため、廃止されれば月々の保険料が下がる一方、将来の年金が少し減るなどの要因にもなるのです。

 では、具体例で比べてみましょう。実際の社会保険料は労使折半なので、会社負担もありますが、給料から天引きされる本人負担の分のみ記載します。(東京都在住40歳未満の場合)

給与水準はほとんど同じAさんとBさんだが…
【Aさん】
給与と手当の合計額は30万9000円
 →「30万円」の等級で社会保険料を計算
 →健康保険料1万4760円、厚生年金保険料2万7450円(合計4万2210円)

【Bさん】
給与と手当の合計額は31万円
 →「32万円」の等級で社会保険料を計算
 →健康保険料1万5744円、厚生年金保険料2万9280円(合計4万5024円)

 AさんとBさんは基本給や手当などの合計額が1000円しか違いませんが、違う「等級」に属することになり、社会保険料計算の基となる額が2万円も違います。そのため、2人の社会保険料の差が月に2814円となってしまいました。