2022年のiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正について、前回記事「iDeCoが22年に大幅改正! 老後資金の選択肢が拡大」でポイントを解説しました。今回の改正で注目したいのが、企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者の多くがiDeCoにも加入できるようになるという点。自分の老後にとって最適な選択は何か、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんが詳しく紹介します。

 老後の資産形成の手段として注目される制度といえば、やっぱりiDeCo(イデコ)! iDeCoとは個人型確定拠出年金の通称です。積極的に活用してほしい制度には違いありませんが、その前に、会社員の場合はしっかり確認してほしいことがあります。それは、あなたの勤務先が企業型確定拠出年金を導入しているか、その場合に自分は加入しているかどうか、です。

 iDeCoは、親しみやすい呼び方と相まって、利用者が急拡大しているのに対し、企業型DCは、愛称もなく地味な存在になってしまっている気もします。しかし、導入する企業数の増加に伴い、実際の加入者数は、会社員の5人に1人まで迫る勢いです。

 今回は2022年度の制度改正で変わる、企業型DCとiDeCoの関係について、確認していきましょう。

会社の企業型DCは退職金? 福利厚生?

 企業型DCとは、企業年金制度の一つ。企業が掛け金を毎月積み立てし、加入者である従業員が、自ら運用を行う制度です。掛け金と自身の選んだ運用商品の収益が、受け取る金額となります。

 会社を通じて加入した企業型DCについて、把握できていますか? 退職金に関する制度としてなのか、それとも福利厚生の一環によるものなのか。掛け金はいくらなのか――。そもそも、自分の会社に企業型DCの制度が導入されているかどうかも分からなかったり、加入していることを認識していなかったりする人も、少なくありません。加入している場合、同じような働きぶりの同僚と、運用結果次第で将来もらえるお金が何百万円、場合によっては何千万円と差が付くこともある制度です。そう考えると、ふわっとした認識のままでいいとは言えませんよね。

 企業型DCを導入している会社では、大きく分けて2つの考え方があります。1つは、退職金として会社が一人ひとりに掛け金を出してくれているケースです。この場合、掛け金の額は、確定給付企業年金(DB)など、他の企業年金との兼ね合いや、退職金規程などにより、会社ごとに大きく異なります。勤続年数や等級によっても違いますので、自分に対して会社が毎月いくら積み立ててくれているのか(事業主掛金)を把握しましょう。

 会社で出してくれる掛け金に、自分の給与の手取りの中から上乗せできる「マッチング拠出」という制度(加入者掛金の拠出)の申し込みができるかどうかも、必ず確認をしてください。ここが2022年10月改正において重要なポイントとなります。マッチング拠出の上限額は、原則として、会社で出してくれる掛け金まで、など法的な上限が決まっています。

退職金として、会社が企業型DCの掛け金を出してくれているケースも
退職金として、会社が企業型DCの掛け金を出してくれているケースも