「男性の育児休業取得」を推進する趣旨の法改正が決まりました。私たちが損をせず、制度を十二分に生かして働いていくために必要な「仕事とお金と制度」の基本を月ごとに取り上げていく連載「ハタラク×お金カレンダー」。7月のテーマは、6月に法改正が決まった「男性育休」を取り上げます。ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんが解説します。

 2021年6月、特に男性の育児休業取得を促進すべく、育児・介護休業法の改正が決まりました。

 現在も男性が育児休業を取得することはできますが、取得率は7.48%と非常に低いのが実態です(令和元年度雇用均等基本調査による)。取得しようとする人は増えているようですが、上司などの嫌がらせによって諦めるケースも存在し、「パタニティハラスメント(パタハラ)」という新しい問題も起こっています。

 今回は育児休業の基本と、この改正によって育児休業の何が変わるのかを確認していきましょう。

育休を取りたい男性も増えているが…
育休を取りたい男性も増えているが…

育児休業制度とは? 手当はいくら出る?

 まず、育児休業の大原則を知っておきましょう。育児休業は、男女の区別を問わない従業員の権利です。

子が1歳に達するまで、申し出により育児休業の取得が可能

 このように大原則は分かりやすいのですが、さまざまな改正が重ねられ次のように複雑化しています。

●一定の場合(保育所等における保育の実施が行われないなどの理由)は、最長で2歳に達するまで可能
「父母ともに」育児休業を取得する場合は、子が1歳2カ月に達するまでの間の1年間、申し出により育児休業の取得が可能
●産後8週間以内の期間に「父が」育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても申し出により再度の「父の」育児休業取得が可能

 共通項としては、家庭ごとの事情を考慮してくれる点、父親が育児休業を取得すると条件が良くなる点が挙げられます。

 さて、育児休業だけであれば、「休むことができます」という制度でしかありません。その間、企業は給料を支払う義務がないので、無収入という可能性が出てきます。

 そこで、休業とセットになっている「育児休業給付金」があります。支給額は休業前の収入(休業開始時賃金日額)の最大67%(6カ月間まで)で、上限(※)もありますが、給付金は非課税ですし、育児休業期間中の社会保険料は免除なので、実質的に休業前の手取り賃金の8割程度が支給されることになります。父親が主たる働き手で、育児休業を取得しても、収入はさほど下がらないといえます。

※ 21年7月現在、6カ月までは月30万5721円が上限。それ以降は支給額が休業開始時賃金日額の最大50%となり、上限は月22万8150円。