高齢者医療制度において、先の国会で「2022年から後期高齢者の医療費負担を増やす」法改正が決まりました。私たちが損をせず、制度を十二分に生かして働いていくために必要な「仕事とお金と制度」の基本を月ごとに取り上げていく連載「ハタラク×お金カレンダー」。8月のテーマは「医療費」です。ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんが解説します。

 2022年(※1)から、一定の後期高齢者(75歳以上)の医療費負担が1割から2割に引き上げられることになりました。

 後期高齢者といえば大きな負担なしで医療を受けやすいイメージがありましたが、割合の引き上げにより、そんな時代は終わってしまうのでしょうか。自分にとってはまだ先でも、親がその影響を受ける可能性もあります。改正の概要と、家計に関わる医療費の重要ポイントを確認していきましょう。

※1 22年10月以降

高齢者の負担を増やさなければならない事情

 厚生労働省によると、平成30年度の国民医療費は43兆3949億円で、前年度より0.8%増とのこと。数字だけ見てもピンとこないかもしれませんが、平成元年度の19兆7290億円と比べると実に倍以上に膨れあがっています。時代も制度も変わっているとはいえ、大幅に増えています。高齢者が増えていること、医学の発展により保険適用の高額な医療が増えていることもあるでしょう。

 一方、医療費の財源として最も大きな割合を占める健康保険料はどうでしょう。保険料を最も納める現役世代の人数が少子高齢化の影響で減っていけば、今後、健康保険料による財源が増えていくとは思えません。単純に給付と負担の収支を考えても、出ていくお金と入ってくるお金のバランスが崩れていくことが想定できるので、何らかの手を打つ必要があります。

 そこで、さまざまな選択肢の中から、75歳以上の「一定」の後期高齢者が窓口で払う負担を増やすという考え方が採用されたというのが経緯です。

日本の医療に必要なお金のバランスが崩れつつある?
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