12月は、私たちの家計にとって重要な時期。「ふるさと納税」をするためにいいタイミングだからです。その理由と、得するコツは? 私たちが損をせず、制度を十二分に生かして働いていくために必要な「仕事とお金と制度」の基本を月ごとに取り上げていく連載「ハタラク×お金カレンダー」。ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんが解説します。

 近年、年末間際のやるべきことリストに「ふるさと納税」が加わった人も多いのではないでしょうか。

 その一方で、かつてはブームに飛び付いたことはあるが、飽きてしまったという人や、返礼品選びに悩んでいる人。さらに、「上限額」という考え方など、仕組みが分かりにくくて断念した人、ワンストップ特例という新制度のインプットが面倒くさくてフリーズしている人も。いろいろな事情で、「ふるさと納税の迷子」になっているケースも多いのでは?

 ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄付をするための仕組みですが、家計に貢献するほどの「お得さ」が組み込まれています。まずは基本から確認していきましょう。

「飽きている場合ではない」やっぱりお得なふるさと納税

 数年前、各自治体が豪華な返礼品をどしどし打ち出し、メディアでも還元率の特に高いものを紹介し、まるでブームのようになっていたふるさと納税。しかし、そんな過熱を受け、政府は「返礼割合(還元率)は寄付額の3割以下」という規制を設けることになりました。ふるさと納税に関する報道も一時よりは落ち着いた印象です。

 ふるさと納税は本来「寄付」の制度ではありますが、やはりお得度が高いのも事実。報道が冷却したからといって、自分もそれに連動するように遠ざかってしまうのは、ちょっともったいないと思います。実は、2020年度のふるさと納税による寄付額は前年度から37.9%伸び、過去最高だったのです。一定数の人にとってはブームではなく定着し、ルーティンになっていると感じます。

 寄付した額(上限額内)のうち2000円を超える部分を所得税や住民税から控除してもらえるので、自分の支出は2000円。それでいて、2000円では手に入らない返礼品をいただくことが可能。これによって、寄付をした人が経済的に得をしてしまう仕組みは、返礼割合が一時より低下した今でも健在です。

 お得さを理解するために、一つの例を挙げて見ましょう。

独身の年収500万円会社員が、5万円分のふるさと納税(※1)をすると…
来年の住民税が24万4600円→19万6600円に、4万8000円減!
5万円寄付したのに、実質的な支出は2000円(そして返礼品をゲット!)
※1 ワンストップ特例を利用すると想定。東京23区在住、人的控除は基礎控除のみ、物的控除は社会保険料控除、寄付金控除のみの条件で概算

 仮に、返礼品に11kgのお米の5回コースを選べば、2000円で計55kgのお米が送料無料で届けられます。2000円なら通常お米は5kg程度しか買うことができないので、確実にお得ですし、人によっては「2000円で1年分のお米を買えた!」となるでしょう。

 これは、ブームとか飽きたとか、そんな理由でやるかどうかを決めるような問題ではないのです。