会社員なら、1月までには昨年の源泉徴収票を手に入れているはず。ただ、その読み方は知っていますか? 実は、今後の人生のマネープランを立てる上で不可欠な情報が載っているのです。私たちが損をせず、制度を十二分に生かして働いていくために必要な「仕事とお金と制度」の基本を月ごとに取り上げていく連載「ハタラク×お金カレンダー」。ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんが解説します。
2022年が始まりました。会社員であれば、昨年分の源泉徴収票を受け取っていますよね! ただ、せっかく源泉徴収票が手元にあっても、「年収がいくらかしか見ていない」という人はいませんか?
実は源泉徴収票の読み取りは、マネーリテラシー向上を図り、ライフプランニングを行うための第一歩ともいえるもの。私たちファイナンシャルプランナー(FP)がライフプランニングを行う際は、給与明細よりも源泉徴収票を重視します。近い過去や今が分かるのが給与明細、未来を見定めるのに役立つのが源泉徴収票といった役割分担です。
今月はそんな源泉徴収票について学んでいきましょう。

自分の年収は知っていても「所得」は答えられない
自分の「所得」がいくらか即答できますか?
大概の会社員は「年収」(収入)は答えられます。源泉徴収票の左上のほうに書かれた、最も大きい数字なので目が行きますよね。でも、「所得」はなかなか答えられません。考えた末に、「所得は、税金とかを引いた額ですか?」と聞いてくる人もいますが、残念ながら違います。
実は、「所得」とは、収入から必要経費を引いた後の金額のことです。
自営業者じゃないから必要経費なんてないし……と、会社員の人は思いがちですが、そういう人も仕事専用のスーツや本など、何かと仕事に必要なものを、自分のお金で買っています。つまり、経費はかかっているのです。
こういった経費に関しては、いちいち領収書をもらって総額を計算しなくても、国が計算式を決めていて、収入が分かれば自動的に算出される仕組みになっています。この計算式で求められる、会社員の経費として認められる金額のことを「給与所得控除額」といいます。つまり、会社員にとっての「所得」(給与所得)は次の通りです。
自分の源泉徴収票、もしくは上の画像を見てください。年収(支払金額)の右側に「給与所得控除『後』の金額」とありますよね。これこそが、会社員が自動的に認められた経費を引いた後の、あなたの「所得」です。自分が仕事用の経費として認められた金額がいくらなのかが分かりますし、税金を知る上での入り口となる重要な数字です。