この連載では毎月初めに、前月の金融マーケットで起きたこととその理由を、分かりやすく解説。2022年1月は、世界的に株価が大きく下落する月となりました。一方でなぜか、銀行や保険会社だけは株価が上昇する事態に…。この背景には、なかなか複雑なカラクリがありました。また、原油価格が再び最高値を更新。激動だった1月の金融マーケットを振り返ります。

【株価】日米ともに全体相場は大きく下落

 2022年の金融マーケットは、世界的な株価の大幅下落で幕を開けた。21年末までは絶好調で最高値を更新しつつあった米国株も、米国株よりは元気のなかった日本株も、同じように1月初旬から下げ始め、1月を通じて大きく下げ続ける展開だった。

 しかし一方で、むしろ1月の株価の調子が良かった業界がある。銀行や保険会社だ。下記のグラフでは、例として日本の銀行の最大手、三菱UFJフィナンシャル・グループの株価を表示しているが、見事に日本株全体と逆の動きをしているのが分かる。

米国株は史上最高値近辺から急落。日本株はもともと勢いが弱かったが、1月にはやはり大きく下落。一方、三菱UFJフィナンシャル・グループの株価が全体相場と裏腹に上昇しているが、日米の金融株の多くが同じように1月は好調だった
米国株は史上最高値近辺から急落。日本株はもともと勢いが弱かったが、1月にはやはり大きく下落。一方、三菱UFJフィナンシャル・グループの株価が全体相場と裏腹に上昇しているが、日米の金融株の多くが同じように1月は好調だった

 なぜこんなことが起きるのか。マネックス証券専門役員の大槻奈那さんは「主に米国の政策が影響している」と指摘する。