ニュースを見ても分かりにくい、株価や為替相場などの金融マーケット情報。でも、その動きの背景にあるものを理解すると、世界経済の仕組みが見えてくる。この連載では毎月初に、前月の金融マーケットで起きたこととその理由を分かりやすく解説。今回は初回スペシャルとして、コロナ禍に見舞われた過去1年の金融マーケットと、2021年に入りそこに起きている変化について。

 約1年前に、世界の金融マーケットを一変させてしまったコロナ禍。しかし2021年に入り、その反動のような動きも出ている。まずは過去1年間の相場に起きていたことを振り返ってみよう。

【株価】コロナ不況の中、株価だけが上昇していたが…

コロナ禍で上昇してきた日米の株価指数のグラフ、感染拡大の初期には急落、その後は上昇を続ける、21年に入り少し乱高下?
株価は昨年3月に急落した後は強い上昇トレンド

 株価は日本(日経平均株価)、米国(ニューヨーク・ダウ工業株30種平均、以下NYダウ)共に、20年3月中旬に急落。一方、そこからは一転して上昇を始め、やがて日経平均株価が30年ぶりの3万円超え、NYダウも3万3000ドル超えと、コロナ禍で相場が一度急落する前を大きく超えた水準まで上昇している。

 株価は本来、企業の業績が上がるほど上昇するが、20年は世界で感染状況がどんどん悪化し、各国がロックダウンなど経済活動の制限に追い込まれていく中で、株価だけは上がっていった。

 「お金の量が増えたからです」と語るのは、第一生命経済研究所の首席エコノミスト、永濱利廣さんだ。

感染パニックで株価下落、後に金融緩和

 20年3月中旬に日米の株価が下落したのは、この頃に欧米まで感染が拡大し、欧米人が中心である投資家が「これは経済がめちゃくちゃになるのでは」と恐れ、パニックになったから。

 しかしその直後、各国の中央銀行――日銀(日本銀行)のように、通貨を発行する権限を持った金融機関――が、「金融緩和」という政策を大幅に強化した。金融緩和とは、中央銀行が世の中に出回るお金の量を増やす政策のこと。

 「通貨の発行量が増えるだけでなく、特に米国政府は失業給付や、ロックダウンで休業する店への補償など、歴史的な規模の財政出動を行ったため、ますます『お金がジャブジャブ』な世の中になりました。しかし、感染拡大や今後の景気が不安なため、そのお金は消費にはなかなか使われない。代わりに、多くの人が株式を買ったのです」(永濱さん)

 しかし、「経済がメチャメチャになりそう」なのに、株式への投資を増やす気になるものだろうか?