この連載では毎月初めに、前月の金融マーケットで起きたこととその理由を、分かりやすく解説。最近、ビットコインについてのニュースが増えているのに気づいていますか? 実はこの5月、ビットコイン価格が大暴落しています。そもそもビットコインが上昇していた理由は何か、なぜ暴落したのか、これが世の中に与える影響は何か。順を追ってみていきましょう。

【仮想通貨】春までは暴騰、突然の暴落

 ビットコインの価格が急落している。米ドル建てで見ると、4月に1ビットコイン=6万ドルを超えていたものが、5月には一時3万ドル台前半まで安くなった。たった1カ月で4割以上も安くなったことになる。

20年後半まで1万ドル程度だったビットコイン価格は、年末以降に急上昇して6万ドル超えへ。その後、5月に入るくらいから逆に急落を始めて3万ドル台に下がった。Bitfinexのデータを基に編集部作成
20年後半まで1万ドル程度だったビットコイン価格は、年末以降に急上昇して6万ドル超えへ。その後、5月に入るくらいから逆に急落を始めて3万ドル台に下がった。Bitfinexのデータを基に編集部作成

 ただこの急落は、「今まで大きく値上がりしていた」ことの反動でもある。昨年10月くらいまでは1万ドル程度で推移していたが、わずか半年足らずで6倍にも値上がりしていたことになる。昨年の水準と比べれば、暴落後の3万ドル台も十分に高い水準といえる。

 そもそもなぜビットコインは、ここまで急騰し、そこからの暴落に至ったのか。基本から見ていこう。

 そもそもビットコインは「仮想通貨」と呼ばれる資産。リアルな硬貨や紙幣はなく、電子データとしてだけ存在する通貨だ。これだけだと「ポイントや電子マネーと何が違う?」と思うかもしれない。仮想通貨が既存の通貨や電子マネーと異なる最大の特徴は、「特定の発行体がない」という点だ。

 円や米ドル、ユーロなどの「法定通貨」は、各国の中央銀行が発行し管理している。ポイントや電子マネーも、例えばSuicaならJR東日本、楽天ポイントなら楽天といったように、特定の企業が発行体だ。

 これに対しビットコインは、仕組みを考えた人たちはいるが、誰か特定の組織が発行して管理しているわけではない。ビットコインを利用する人全員が、互いに監視し合う仕組みによって、「偽金」が生まれることを防ぎ、送金や取引が正常に行われることが保証される仕組みになっている。この仕組みの中で独自の暗号技術が使われているため、仮想通貨は「暗号資産」とも呼ばれる。

 電子マネーは、発行体の企業が事業をやめてしまえば使えなくなる。法定通貨ですら、その国が破綻してしまえば使えなくなる可能性があり、新興国の通貨ではそれに近いことも起きている。しかし仮想通貨(暗号資産)は、理論的にはそういった破綻リスクがない。

 そのためビットコインが生まれた当初は、「世界経済に不安が高まると値上がりしやすい」性質を持っていた。法定通貨の価値に対する不安が高まると、ビットコインに資産を「避難させる」人が多かったのだ。過去にビットコインが大きく上昇した局面は、例えば12年ごろにあった「欧州危機」の時期だった。

 これは、「金(ゴールド)」に近い性質といえる。金はそれ自体に価値があり、どこの国が破綻しても無価値にはならないため、世界経済のリスクが高まるとき(株価が下がるとき)に値上がりしやすい。

 しかし最近、この性質が変わってきたという。