この連載では毎月初めに、前月の金融マーケットで起きたこととその理由を、分かりやすく解説。6月下旬に、日経平均株価が突然急落した日がありました。実はこれ、米国の経済で今起きつつあるトレンドの余波なのです。「2つの金利」に注目すれば、背後にトレンドが見えてきます。

【株価】6月21日に突然の日経平均急落

 2021年6月21日、日経平均株価が1日で一時1000円以上も急落する日があり、市場関係者の間に緊張が走った。

 幸い、急落はほぼその日だけで終わり、相場は落ち着きを取り戻しているように見える。この日、何が起きていたのかを読み解くと、今の世界経済が一つの転換点に差しかかっていることが見えてくる。

日米株価が一時急落
日米株価が一時急落
米国が一足早く下落を始め、日本株が6月21日に大幅下落した。どちらの株価もその後は回復している

 「これは米国市場で起きたことの余波です。米国の金利に振り回された、と言っていいかもしれません」と語るのは、マネックス証券専門役員の大槻奈那さんだ。株価のグラフを見ると、日本株よりは下落率は小さいものの、米国株も6月17日頃からやはり一時的に急落していることが分かる。

 そもそも日本株の値動きを表す日経平均株価は、必ずしも日本の経済状況と連動しているわけではない。日本株の売買の7割は、外国人投資家が行っているとされる。米国株が急落する状況になり、海外の投資家が株式投資を減らす行動に出れば、日本に特に悪材料がなくても日本株は下落してしまうのだ。日本時間で前日の夜にニューヨークの証券取引所で米国株に起きた動きが、翌朝の東京にて日本株で再現されるのは日常茶飯事。日本の証券関係者にとっては、早起きしてまず前日の米国株相場をチェックするのは当たり前の日課といえる。

 そしてその際、「株価が下がる理由は米国にあるのに、日本株のほうが下落幅が大きい」ことも珍しくない。基本的に米国のほうが経済の地力が強く、参加している投資家の層も厚いので、株価に売り圧力がかかったとしても食い止める力が強い。日本株市場はそれと比べて規模が小さいので、大きく振り回されてしまうことになりがちだ。

 では今回、日本株を振り回した、米国発の急落材料とは何か。それは大槻さんが言うように「金利」の問題だ。米国でこのとき、「2種類の金利」が、それぞれ違う動きを見せていた。詳しく説明しよう。