この連載では毎月初めに、前月の金融マーケットで起きたこととその理由を、分かりやすく解説。8月の株式市場では、「日本株が海外株と比べて元気がない」状況が続きました。この背景には新型コロナウイルスの状況と、日本の政治要因が…。読み解きます。

【株価】日本株が「米国株と比べて極端に弱い」状況に

 8月の日経平均株価は、いまいち元気のない展開だった。新型コロナウイルスの感染者数が再び世界的に急増し、再び景気への不安感が高まった状況を見れば自然な展開にも思えるが、実は日本以外の株式相場を見ると様相が異なっている。

 グラフは日本株と米国株の推移を比べたものだ。感染者数の急増に直面しているのは米国も同じだが、米国株は日本株と比べてだいぶ元気がいい。マネックス証券専門役員の大槻奈那さんは「米国株と日本株との比較で見ると、今は過去5年間で見て、日本株が最も『相対的に弱い』状況になっています。米国株だけでなく、主要な欧州の株式指数と比べても似たような傾向です」と語る。

米国株と日本株の差が徐々に広がりつつある
米国株と日本株の差が徐々に広がりつつある

 なぜ今、日本株が世界で特に弱くなっているのか。現状、金利や為替相場といった、株式市場にも影響を与える他の経済指標は、それほど動きがない。「金利や為替に関しては、気味が悪いくらい動いていないという印象です」。では、理由は何か。