生命保険は若い頃に入ったものを継続する方が今後の保険料は安く済む――。実はこれ、古い常識。ここ数年の保険業界に起こった変化により、「年を重ねても最新商品に乗り換える方が得」という状況が生まれています。詳しく解説します。

 一家の稼ぎ手に万一のことがあったとき、残された家族の生活を支える死亡保障(生命保険)。養う家族がいる人にとっては、保険の中でも特に優先順位の高いものの一つだ。

 この死亡保障が今、乗り換えを検討したいタイミングであることを知っているだろうか。

 一般論として死亡保障は、加入時点の年齢が高くなるほど保険料は高い。30歳より40歳の方が、例えば「保険加入者1万人のうち、1年間に死亡する人数」は多くなるので、それだけ加入者1人から多くの保険料を集めておかなければ支払う保険金が足りなくなるためだ。

 そのため基本的には「若い頃に加入した死亡保障は、そのまま加入し続けた方が今後の保険料は安く済む」、裏を返せば「年を重ねてから違う保険に乗り換えると、保険料は高くなってしまう」のが常識といえる。

 しかしここ数年、この常識が揺らいでいる。家族構成などの変化による保険の見直しではなく、現状と同じ保障を継続したいだけの人でも、「乗り換えた方がお得」という状況が生まれているのだ。

平均寿命の延び、医療の進歩…10年前と状況が変わっている

 最大の理由は「標準生命表の改定」だ。

 標準生命表とは「日本人の年齢層別の死亡確率」を男女別にまとめたもので、保険料を決めるときの基本になる。保険会社はこれを基に、会社ごとに独自の調整を加えて保険料を決めている。この標準生命表が2018年、実に11年ぶりに改訂されたのだ。

 医療の進歩などを背景に、日本人の平均寿命は年々長くなっている。これは「日本人の死亡率が下がっている」ことと同義だ。07年時点の40代より、今の40代が亡くなる確率は低くなっている。

平均寿命の延びを反映して、死亡保障の保険料が大きく下がった
平均寿命の延びを反映して、死亡保障の保険料が大きく下がった

 新しい標準生命表を反映して、18年4月以降、多くの保険会社が一斉に死亡保障の保険料を引き下げた。これにより、「保険料が2割から3割下がったケースも多い」と、保険商品に詳しいファイナンシャル・プランナーの平野雅章さんは語る。

 例えば下記は、同じ保険会社、同じ条件のとある死亡保障商品について、17年以前と今の保険料を比べたものだ(編集部調べ)。

【17年以前の月額保険料】
30歳女性 2632円
40歳女性 3118円

【21年現在の月額保険料】
30歳女性 1985円
40歳女性 2195円

 17年以前の30歳より、現在の40歳の方が保険料は安い。「年を重ねてから乗り換えても、保険料が下がる」となっていることが分かるだろう。

ちなみに、「保険料」は加入者が毎月支払うお金のことで、「保険金」は何かあったときに保険会社から加入者に支払われるお金。間違えやすいので覚えておこう。