使える店が増え、身近な存在になったスマホ決済。しかし今は、そのお得さに逆風が吹き、ポイント還元率という視点で見ればメリットが薄れる状況になっています。しかし使い方を工夫しさえすれば、まだ他のキャッシュレス決済に対する優位点も。現状を解説しました。

前編・逆風受けるスマホ決済は今「選び直すべき」 その理由は ←今回はココ
後編・「なんとかペイ」 5種類を総ざらい、お得度は使い方次第

 ここ数年で、一気に生活に浸透したスマホ決済。PayPayが2018年末に仕掛けた「20%還元」のキャンペーンをはじめとした、各事業者による大盤振る舞いに加えて、国の政策による還元も上乗せに。お得に買い物ができる手段として脚光を浴びたことが主因だ。

 しかし、「大盤振る舞い」の局面は、そろそろ終わりを迎えようとしている。

 国からの補助は、20年に終わった「キャッシュレス・消費者還元事業」に続いて、「マイナポイント」による還元も21年9月で終了(対象となるマイナンバーカードの申し込みは既に終了)。決済事業者独自の還元も、かつて連発された「20%還元」のようなシンプルかつ高還元率のキャンペーンは見かけなくなり、ベースとなる日々の還元率についても、利用者からは「改悪」に見える変更が相次いでいる。そしてこれはある意味、当然の流れだ。

 逆風の中にあるように見えるスマホ決済だが、まだ価値を失ったわけではない。本記事ではスマホ決済の現状と、今使うならどう使えばお得なのかを解説していく。

一時期はスマホ決済のお得度は圧倒的だったが…
一時期はスマホ決済のお得度は圧倒的だったが…

PayPayやd払い…相次ぐお得度の低下

 7月1日から、スマホ決済最大手「PayPay」の仕組みが大きく変わった。日々の買い物金額に対する還元率を決める「PayPayステップ」という制度が大きく見直されたのだ。

 PayPayの基本となる還元率は、利用額の0.5%。6月までのPayPayステップでは、月に「100円以上の買い物を50回以上」すると翌月の還元率が+0.5%、月間10万円以上使えばさらに+0.5%、というルールだった。これが7月からは、月に「300円以上の買い物を30回」「月間5万円以上利用」という2条件を満たすと+0.5%、というルールに変更された。

 従来は、2条件を同時に満たせば1.5%の還元率にできたほか、100円の飲み物を50回買うだけで1.0%にすることも可能だった。しかし新ルールでは、1回当たりの決済金額と月間利用額のハードルが上昇。普通の利用だけでは1.5%還元の実現が難しくなってしまった。

 NTTドコモのスマホ決済、d払いでは、7月9日に「dポイント スーパー還元プログラム」が廃止された。同プログラムでは、ケータイやdカードといったドコモの関連サービスの利用状況次第で、d払いの還元率が最大7%にアップするもので、1~2%の上乗せまでならそれほどハードルが高くなかった。これが廃止されたことで、日常的に得られる還元率は0.5%(リアル店舗の場合)と平凡なものになってしまった。

 このように、還元率を縮小する例は最近、枚挙にいとまがない。一時期は他社と同様の還元を行っていたLINE Payは20年以降、一部の例外を除いて還元率ゼロになっている。

 原因はそもそも、スマホ決済がまだ「もうかる事業」ではないことだ。クレジットカードなどは、決済金額の数%を決済手数料として店から徴収し、その一部をポイントなどの形で利用者に還元している。しかしスマホ決済はこれまで、加盟店から決済手数料を取っていなかった。各社は純粋に、利用者をまず増やすための広告費として、大赤字を出しながら、クレジットカードを上回る還元を行ってきたのだ。

 クレジットカードですら、近年はポイント還元率が1.5%を超えるような「高還元率カード」は次々廃止され、ほぼ絶滅している。スマホ決済の大盤振る舞いが長続きしないのは当然ともいえる。

 高い還元率がなくなった場合、スマホ決済は「利便性」という意味では、他のキャッシュレス決済と比べて必ずしも優位とはいえない面がある。レジ前でスマホのアプリを立ち上げる手間があり、端末にかざすだけでいい電子マネーやクレジット決済と比べると、わずかとはいえ時間がかかる。

まだ残る高還元率と、スマホだからこそのメリット

 では、スマホ決済を使う価値はなくなってしまったかといえば、それは違う。今でも、他のキャッシュレス決済を上回るメリットはある。しかしそれを享受するには、サービス選びや活用法について若干の工夫が必要になっている。今はまさに、「スマホ決済を選び直す」べきタイミングだ。

 以下では、現時点のスマホ決済のメリットを紹介していく。まだ比較的高い還元率を得られることをはじめ、そのメリットは主に5つある。