「積み立て投資は最後まで売ってはダメ」――。これは長期的かつ安定的に利益を得るためには正しい考え方。コツコツと少額で買い続けている人は少なくないでしょう。しかし実は、あえて「途中で売却する」ことで、積み立て投資の成績をさらに高められる可能性もあること、知っていましたか? 今回から2回シリーズで、積み立て投資を売るためのワザを紹介します。

・積み立てなのにあえて途中で売る?新発想の投資術(1) ←今回はココ
・資産額の目標達成確率が上がる 新発想の投資術(2)

 コロナ禍で経済に不安要素が多い中、日経平均株価はバブル後の最高値に近い3万円近辺で推移し、米国を中心に外国株が史上最高値を更新している例も多い。これまで積み立て投資を続けていた多くの人が、今、それなりの含み益(まだ投信などを売却はしていないが、値上がりしている状態)になっているだろう。「今はバブルなのでは? 早めに売ったほうがいいのでは?」という迷いを抱いているかもしれない。

 とはいえ、積み立て投資の大原則は「長期投資」であること。つまり、安易に売らず、淡々と買い続けるのが正しいやり方だ。

 株価は上下を繰り返しながらも長期的には上昇していくことが多く、少し値上がりしたからと売却していれば、利益の多くを取りこぼしてしまう。逆に「少し下がったから、これからもっと下がりそうだから」と怖くなって売却するのも、一番安いときに売る結果になりやすく、賢い行動とはいえない。

 そんな大原則はあるが、「途中で売る」のが全くNGというわけではない。目先の値動きに左右され、行き当たりばったりで売却するのはダメだが、「この条件を満たしたら売却する」というルールをしっかり決めて守るのであれば、むしろうまくいく可能性の高い方法もある。

 今回はそんな「途中で売るルールのある積み立て投資法」を紹介していく。

「手取り22万円なのに資産1億円超」井上さんのワザ

 途中で売る積み立て投資のルールを提唱するのは、個人投資家の井上はじめさんだ。

 井上さんは36歳。会社員としての給料は新入社員の頃からほとんど変わらず、月収手取り約22万円だった(※昨年退職、プロフィール参照)。しかし徹底的に節約し、2006年から月10万円の積み立て投資を始めて以降、2021年には純資産が1億円を超えた。これは資産がある程度増えた後に始めた、別の投資の成果も含んでいるが、積み立て投資だけでも2021年時点で、投資総額1900万円を4200万円に増やせている。

井上はじめ(いのうえ・はじめ)さん/個人投資家
1985年3月、宮崎生まれ、千葉育ち、就職は大阪、転職して東京在住。 東京都千代田区にある未上場の会社に勤めるサラリーマンだったが、コロナの影響もあり、2020年にサラリーマンは引退し、現在は将来のためにハウスクリーニングのアルバイト中。cakesの連載を基にした初の書籍『33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由』(新潮社)では、積み立て以外に手掛ける不動産投資、投資の元手を捻出するための節約術などについても解説している。

 「就活中の大学生だった2006年に、一つの気付きを得たのがきっかけです。それは、世界の人口はほぼ確実に2050年まで増え続けるので、世界のGDP(国内総生産)の総額も確実に増え続けるということ。

 世界経済の拡大に連動する、世界株式のインデックス投信へ投資することで、その恩恵を受けられることに気付きました。僕は2006年に気付いて始めましたが、この流れは2050年まで続くのだから、今初めて気付いた人でも十分に間に合います」

 さて、井上さんはずっと積み立てを続けてはいるが、実はこの間、あるルールに基づいて、3回も途中で全額を売却しながら、着実に資産を増やしている。

 井上さんはどんなルールで運用しているのだろうか、順を追って見ていこう。