(1)人との関わりを休む

 明らかに心が病んでいるときは、周囲との関わりをいったん休む。伊藤さんの場合は、「人と積極的に話をしないし飲み会にも行かない。場合によっては、仕事の打ち合わせもキャンセルする」ということを徹底しているそう。なぜなら、気持ちが沈んでいる状態で周囲にペースを合わせようとして無理に気持ちを上げようとすると、ますます落ち込んでしまったという経験があるからだ。

 「普段から感情が上下し過ぎないように意識はしていますが、それでもメンタルが落ちることはあります。そういうときは無理せず、自分にとってマイナスになりそうな人との関わりをすべてシャットダウンします。もちろん相手には言葉を選んで伝えますが、何事においても完璧にこなす必要はありません。我慢に我慢を重ねて突然プツンと糸が切れないよう、適度なガス抜きが大切です

うつの経験がある伊藤さんは、落ち込むと負のスパイラルに入りがちだったという。「漫画を読んだり映画を見たりして、ネガティブな気持ちを断ち切る時間も大切です」(写真はイメージ)
うつの経験がある伊藤さんは、落ち込むと負のスパイラルに入りがちだったという。「漫画を読んだり映画を見たりして、ネガティブな気持ちを断ち切る時間も大切です」(写真はイメージ)

 伊藤さんは、自分のコンディションが悪いときは、オンライン会議でもビデオ画面はオフ。存在感を薄くし、発言もできるだけ少なくしている。

 「『表向きでは通常営業に見せつつ、裏で少し力を抜く』というずる賢さは、身に付けたほうがいいと思っています。つまり、あえてサボってみる。僕の場合は、今日作業しようと思っていた業務を明日に延ばすことも。翌日は作業が増えてしまい大変ですが、自衛手段としては必要なことなのです」