米国と日本を拠点に、フリーランス音楽エージェントやライターとして活躍するZ世代の竹田ダニエルさん。SNSやメディアを通じ、Z世代の当事者目線で「社会と音楽」について積極的に発信しています。今回は、若者の中でキーワードとなっている「セルフラブ」と「メンタルヘルス」という考え方について。こういった考え方がクリエイティブな活動、とりわけアーティストの音楽活動にどのような影響を与えているのかを解説してもらいました。

セルフラブとメンタルヘルスが若者のキーワードに

 今、米国の若者たちの間では「セルフラブ(自分を愛すること)」「メンタルヘルス(精神的な健康)」がキーワードとなっている。銃乱射事件や人種差別問題などのニュースが流れ、不景気によって雇用状況も悪化。環境問題や予測不可能な経済破綻、そして世界を不安で覆った新型コロナウイルスの影響で、ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる彼らにとって「将来」とは不安なものであり、「今ある時間」が貴重なものとなっている。

 彼らにとってキャリアアップやSNS映えする完璧な理想像を追うことよりも、自分のメンタルヘルスこそが優先されるべきことであり、セルフラブを通して不安な日々を耐えているのだ。

 一方で、どの時代においても音楽は救いになるということがパンデミック中にも米国では強く唱えられている。メンタルヘルスの一環としても、好きな音楽を聴いて精神的に安定や楽しさを保つというのは大きな役割を果たすことが主張されている。

 日本では少しずつ言及されるようになったメンタルヘルスの問題。近年米国では、この問題が若者に影響を及ぼしているとして、メディアや企業、教育などにおいて大変重要なテーマとして取り扱われている。

 筆者はミレニアル世代とは大まかに1980年~1995年に生まれた世代、Z世代とは1996年~2015年の間に生まれた世代としている(※)。デジタルの世界が日常に存在していることが当たり前である彼ら。音楽の聴き方は、CD→デジタル→ストリーミング、サブスクリプションといった遷移をリアルタイムで体感している世代だ。

 今回の記事では若者特有の「音楽の聴かれ方」ではなく、アーティストや業界全体が「メンタルヘルス×音楽」というキーワードについてどのように向き合っているのかについて取り上げたい。

※「ミレニアル世代」と「Z世代」の分け方には諸説あります。