米国と日本を拠点に、フリーランス音楽エージェントやライターとして活躍するZ世代の竹田ダニエルさん。SNSやメディアを通じ、Z世代の当事者目線で「社会と音楽」について積極的に発信しています。今回のテーマは「チャリティー」と「アクティビズム」。企業やセレブリティのチャリティー活動に対する取り組みに対し、Z世代はどのように興味関心を持っているのでしょうか。
社会課題に対するZ世代の価値観
Z世代は度重なる経済不況をはじめ治安の悪化や気候変動や環境汚染、世界規模での社会不安、さらに新型コロナウイルスによるパンデミックを経験している。
米国でのZ世代の一般的な定義は、「9.11を覚えていなくても、9.11後の世界で育った」世代とされている。不況の影響を受けて漂う鬱々とした世界しか知らず、同時にテクノロジーの進化と共に育った彼らは、世界の現実をリアルタイムで自分の目で調べて確認することができる。
また、SNSをはじめとしたテクノロジーを通じ、マスメディアや身の回りの大人たちに頼ることなく、自ら世界について学ぶこともできる。よって既存のシステムでは解決できない問題が山積みになっていることが新たに可視化され、新たな視点を持ったZ世代たちは緊急に変化を求めるようになった。
テンプル大学でコミュニケーションと社会的影響力を研究しているジェイソン・デル・ガンディオ教授は「Z世代がユニークな世界観を持っているのは当然のことかもしれない」とした上で、AP通信にて以下のように語っている。
(AP通信「Meet Gen Z activists: Called to action in an unsettled world」より引用。竹田ダニエル訳)
筆者が以前書いた記事ではZ世代的価値観の中核的な話題として「アクティビズム」を挙げ、以下のように説明している。
(Tokion「連載『Z世代的価値観』とは何か? Vol.1 4つのトピックスから見る新たな事象」より引用)
つまり、筆者はZ世代を「変化を求める世代である」と言っても過言ではないと考える。彼らは大人に頼らず、自らの手でより良い社会をつくることを希望しているが、その一つの手段として、チャリティーなどの慈善活動が関わってくるのだ。