カリフォルニア出身で、現在も米国に在住しているZ世代の竹田ダニエルさん。フリーランス音楽エージェントの傍ら、「アメリカ事情・カルチャー・アイデンティティー×社会」をテーマにライターとしても活動しています。今回取り上げるのは「Z世代の働き方」。コロナ禍や経済破綻など、不安定な社会に生きる彼らは「働くこと」に対し、どのような考え方を持っているのでしょうか。今回が最終回です。

大量退職から見る「仕事に対する価値観の変化」

 近年、「Z世代らしい働き方」について解説したり、コンサルしたりする人が多く見られるようになった。しかし、実際のところ、Z世代の年長であっても、大学を卒業したばかりのため、「Z世代がどのような働き方を好むのか」「どのようなライフスタイルを求めているか」は誰にとっても未知数だ。

 だが、コロナのパンデミックは、Z世代における「仕事」や「働き方」のあり方も大きく変えた。環境問題や政治経済の不安定さを体験している彼らは、富を得るために理不尽な働き方をしたり、倫理的に有害な会社に献身したりするよりも、「今の自分にとって大切なこと」に集中したほうが、メンタルヘルスの観点から、そして持続可能性の観点からも合理的だと気づき始めているのだ。

 米国では在宅勤務の増加や雇用情勢の好転により、「The Great Resignation」と呼ばれる大量離職が加速している。この背景には、労働者の「今より柔軟な働き方」への欲求があると考えられている。

 それを裏付けるように、米国のSNSやニュース番組では「飲食店などの店舗や一般企業が大規模な人材不足に陥っている」という話題がよく挙がっている。サービス業を中心に転職や離職をする人たちが急増し、待遇や賃金の良くない職に人が集まらなくなっていることが社会問題になっているのだ。

 ニュースメディア「npr」によると、2021年4月の退職者のうち、74万人以上がホテルやレストラン、テーマパークなどの「レジャー・ホスピタリティー産業」に従事していた人だったという。離職理由には、態度の悪い客や低い賃金、コロナに対するリスクの高さが挙げられている。「生き方」を考える上で、人生の大半を費やす「仕事」を見直すことは、当然のことだろう※1

 さらに、ニュースメディア「CNBC make it」によると、Z世代からミレニアル世代の若者の多くは、近々転職する予定だという。今年8月、バンクレートとYouGovが共同で発表した求職者調査では「米国の成人の約55%が転職を予定しており、特にZ世代(18~24歳)とミレニアル世代(25~40歳)の労働者は、ベビーブーム世代(57~75歳)と比べ、近々転職活動を行う人の割合が約2倍(それぞれ77%、63%に対しベビーブーム世代は33%)だった」と発表されている。

 バンクレートのシニア・エコノミック・アナリストであるマーク・ハムリック氏は次のように述べている。

「Z世代とミレニアル世代は仕事の見通しが立たず、失業率も高いため、変化を求めています。彼らは自分たちより上の世代ほど稼げていないので、より高い給料の仕事を見つけたがっているのです」

(竹田ダニエル訳)※2