必要なのは、「偶然」を受け入れる計画性

―― 「人生はコントロール」できないという考え方をするとは、具体的にはどうすればよいのでしょうか?

鎌田 今まで僕たちは学生時代から勉強したり、ビジネス書を読んだりして、いい学校に入って、いい会社に入って、「いい暮らし」をすることを想定して準備してきました。

 でも、もはやその仕組みは大きく壊れてしまっています。偏差値の高い学校を出てもいい会社に入れるか分からないし、いい会社に入ってもその会社が潰れる可能性があります。そして現在のコロナ禍です。学校や会社に頼らない人のほうが、かえってたくましく生きていることもありますね。これまでの「時間術」「読書術」「仕事術」……と術ばかりを身につける勉強法や、人生に対する備えはもう今の時代に合っていない。発想の転換が必要になるのです。

―― そういう人生のロールモデルは過去のものになりつつあると感じますね。では、どういった発想の転換が必要なのでしょうか?

鎌田 もちろん勉強したり、計画を立てて努力したりすることは大事です。しかし、それだけに頼ると想定外の事態に対処ができない。したがって、これからは「コントロールできないこと」を人生に組み込むことが必要です。

―― 日々の生活でも、想定外のことが起きると考えておくということでしょうか?

鎌田 計画性よりも「偶然」を大切にしようということです。自分の意に沿わないことが起こっても、それを受け入れて楽しむ。僕の授業では、それを「生きた時間」と呼んでいます。

 生きていれば「偶然が起こるのが当たり前」なのだから、何でも計画通りにするのをやめるんです。天気、出会う人、食べ物、環境など、日常で偶然に起こる出来事すべてをいったん受け入れて、その中でいいところを見て、明るく生きていくという生き方です。

 といっても、行き当たりばったりで生きていけばいいのではなく、勉強や計画性をある程度、身に付ける必要はあります。そのうえで、「偶然を自分の人生に受け入れる」という計画性を持たなければなりません。それが「計画された偶然性(プランド・ハップンスタンス)」なのです。