新型コロナウイルスの流行、頻発する地震や火山の噴火、大型台風などの気象災害――超想定外の時代を生き抜くためには「体の声に耳を傾けることが必要」だと京都大学名誉教授の鎌田浩毅さんはいいます。「体の声を聞く」とは、どういうことなのかを聞きました。

日経xwoman編集部(以下、――) 前回は、想定外の時代を生き抜くためには体の不調を整え、無意識に目を向けることが重要だと伺いました。具体的には日ごろからどんなことに気を付けるべきでしょうか?

鎌田浩毅さん(以下、鎌田) 今、日本人の一番の問題は食べ過ぎ、栄養過多です。人類の歴史を見ると、満足に食べられない期間のほうがずっと長かった。それに他の生物であれば、獲物を捕るために必死で動き回らねばなりません。人間が労力なしに好きなだけ食べられるのは、生物としてみると実は異常な状態なのです。

―― 食べ過ぎを防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

鎌田 もっとも簡単な方法は、腹八分目で食事をやめることです。食事中に、ふと「おなかがいっぱいだな」と感じる瞬間があるはずです。そこで箸を置いて、残りは冷蔵庫に入れてしまいましょう。腹八分目を超えて食べ続けていると、満腹感が分からず、全部食べても満足できなくなります。腹十二分目くらい食べてやっと「今日は満腹だ」と感じるのですが、それでは明らかに食べ過ぎです。

 食べ過ぎや飲み過ぎが何を招くか。「体が重い」といった不調が続くと肥満となり、動脈硬化や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群の原因ともなるでしょう。糖尿病の合併症である脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞も心配です。よいことは何一つないのですね。

「地震や火山の噴火など『まさかの事態』には学歴やお金ではなく、危機から逃げ延びる体力がものをいいます。日ごろから体を大事にして、体力を蓄えておくのが肝心です」
「地震や火山の噴火など『まさかの事態』には学歴やお金ではなく、危機から逃げ延びる体力がものをいいます。日ごろから体を大事にして、体力を蓄えておくのが肝心です」

―― ただ、腹八分目で食事を止めるのは、意志が強くないと難しそうですが……。

鎌田 ポイントは自分が一番好きなものから食べることです。もし最後に大好物、僕の場合はウニやイクラが残っていたら悲しいじゃないですか。栄養バランスを考えるのはもちろんですが、好きなものから食べて、「おなかがいっぱいになった」と感じたら、そこでやめてみましょう。

 毎回できなくても、最初のうちは気づいたとき、例えば50回に1回でもいいのです。それを10回に1回、3回に1回とできれば、自分にとっての適量が分かります。

 実のところ、腹六分目がベストです。野生のライオンやチーターは狩りに成功してから、次の狩りまで時間が空くので、体重が増えず、体に負荷をかけない状態で生きています。これが腹六分目なんですね。そして老衰でパタッと死ぬ「ピンピンコロリ」です。現代人にそれが難しいのは、ひとえに食べ過ぎが原因だと僕は考えています。