フィジーで英語学校の校長を務める永崎裕麻さん。2020年春から「日本・フィジー・デンマーク」の世界3拠点生活(トリプルライフ)を送る予定でしたが、コロナの影響もあり、現在はフィジーに滞在しています。今回のテーマは「南国育休」について。南国で育休? そんな夢みたいなこと…と思いますが、意外にも現実的な選択肢だそうです。はたしてその理由は。
日本の男性はせっかくの育休制度を生かし切れていない
2020年度、日本における育児休業取得率は女性が81.6%、男性は12.65%(厚生労働省/雇用均等基本調査)でした。
この取得率の差もさることながら、育休取得期間の差も大きい。
2018年度のデータによると、女性の育休期間は「10~12カ月未満」が31.3%、「12~18カ月未満」が29.8%、「8~10カ月未満」が10.9%の順で多くなっています。
一方、男性の場合は「5日未満」が36.3%、「5日~2週間未満」が35.1%となり、2週間未満の育休が全体の7割を超えています。(※2020年度データでは、「5日未満」の割合のみ公開されており、28.33%となっている)。女性に比べて、圧倒的に育休期間の日数が少ないのです。
あまり知られていないかもしれませんが、実は日本の男性育休制度は世界の中でも優れていると言われています。2021年に発表されたユニセフの報告書「先進国の子育て支援の現状」(取得可能な育休期間や給付率を考慮)でも、日本の男性育休制度は41カ国中1位に輝いています。
他国のイクメンたちが嫉妬しそうな日本の男性育休制度ですが、上述したように取得率や取得期間などは劇的に低い状況にあります。いったいなぜなのか?
よく言われているのが以下のような理由です。
・会社の理解がない(上司に言い出しにくい、前例がない)
・収入を下げたくない
・出世に影響する
などなど。
もしかしたら、これらの「育休が取得しにくい理由」をしのぐような「ぜひとも育休を取得したい理由」がないから、世界一の育休制度を活用できていないのかもしれません。僕自身、2人の子どもを育てている立場から、男性が育休を取得するメリットはいろいろあると思います。
・家族内時間を担保でき、思い出を量産できる
・働かなくても収入が確保できる
・妻や女性スタッフからの信頼が得られる(出産後、妻の夫に対する愛情は低下する傾向があるが、協力して育児をした場合はそれを防ぐことができるという説もあります)
ただ、これらのメリットだけでは日本のパパたちを動かすには不十分ということなのでしょう。では、他にどんなメリットが必要なのか。
僕は「ワクワク」だと思っています。男性にとっての育休のイメージとは、家の中でおむつを替えたり、赤ちゃんに哺乳瓶でミルクを飲ませたりと、何となく地味でコツコツやるというものかもしれません。「ワクワクできないもの」という印象なのではないでしょうか。