そもそも「自由」とはどういう状態?

 「自由」とはどんな状態かを言い表すと、平たくいえば「やってもいいし、やらなくてもいいよ」という状況です。しかし、僕は「自由は義務に変換されやすい」と感じています。

 例えば、大学の部活やサークル活動。別にやらなくても単位が取れずに卒業できないというわけではありません。

 入部する前は「やってもいいし、やらなくてもいい」という自由な状態だったはずが、いざ入部してみると、「週4回は練習をしなければならない」「会計を担当することになって、部費をみんなから徴収しなければならない」など、いろんな義務が発生してきて、日常が「やらなければならないこと」で埋め尽くされる場合があります。

 こんなふうに自由はあっさりと義務に変換されます。

 最初は、「やりたい」から選んだはずなのに、気がついたら義務感のみで動いていることが結構あるのではないでしょうか。義務感が強く窮屈になってきたら、手放してみることが大切です。手放してみると、また「やりたい」という気持ちが復活するケースも多々あるからです。「やらされ感」なしに活動することが精神的にも健全です。

 義務感からではなく、時間を忘れてやりたいことに没入できている人はそのままでいいでしょう。でも、睡眠時間を削りながら「やらなければならないこと」に日々苦悶(くもん)し、格闘している人は「手放す」スキルを習得する必要があります。自由を獲得するためには、「義務の断捨離」が必要です。

自分の生活が義務感で埋め尽くされていたら、手放すことも必要
自分の生活が義務感で埋め尽くされていたら、手放すことも必要

自由は「選択肢」と「リテラシー」で手に入る

 「自由」は「選択肢」と「リテラシー」の2つの要素に分解できます。

 「選択肢」は分かりやすいですよね。

 選択肢がない人生は不自由です。しかし、選択肢が多ければ多いほどいいのかというと、そこは複雑です。多様な選択肢がある中で最適解をスムーズに選び取る「リテラシー」がないと、逆に選択肢は人を迷子にすることもあります。

 著書『選択の科学』(文芸春秋)で知られる、コロンビア大学教授のシーナ・アイエンガー氏は「最適な選択肢の数は5~9個」だといい、アメリカの心理学者バリー・シュワルツ氏は、「選択肢の多さが、逆に幸福度を下げている」といいます。

 豊富な選択肢は、人を不幸にする側面があるといえるでしょう。

 では、どのように選択リテラシーを高めていけばいいのでしょうか。僕は次の3つがあると考えます。