フィジーで英語学校の校長を務める永崎裕麻さん。連載の最終回のテーマは「自由」について。フィジーから日本に一時帰国した永崎さんが感じたのは、法的にはかなり自由な国であるはずの日本での「不自由さ」だといいます。自由と不自由、幸福の関係について考えます。
自由なはずの日本で不自由さを感じるのはなぜ
この連載も最終回となり、最後は「自由」について考えたいと思います。
今、皆さんはどのぐらい自由ですか?
自由とはいったい何なのでしょうか。
自由の国といえば、「自由・平等・友愛」を掲げたフランス革命のあったフランスや、自由の女神像があるアメリカを想像するのが一般的かもしれません。

ただ、僕はウィズコロナ時代になり、日本は世界の中でも自由な国になったのではないかと感じることがあります。
僕自身はフィジー在住ですが、2020年にフィジーで最初の感染者が発生した際、その日の夜から都市はロックダウンとなりました。日本からの留学生たちも多く滞在しており、急に都市が封鎖されてしまったので、隣町の空港から出国できないという事態になりました。
その後もマスクをしていないと罰金があったり、警察に拘束されたりしますし、ワクチン接種はほぼ強制に近いイメージです。従業員がワクチン未接種の場合、雇用主は契約を解除できます。
21年に第2波が発生した際、僕たち家族は仕事の都合で2カ月ほどホテル滞在をしていたのですが、ワクチン未接種を理由にホテルから追い出されてしまいました。現在はワクチン接種率も9割を超え、感染者数が減っており、いろいろ緩和されてはいます。
2年ぶりに日本へ帰国して感じたこと
21年は2年ぶりに日本へ一時帰国し、コロナ以降の日本を体験しました。
日本にはロックダウンも門限もありません。
ワクチンを打たなくても、会社を解雇になることもありません。
マスクを着用しなくても、警察に逮捕されることもありません。
「幸せ」の大きな要素である「自己裁量権」が圧倒的に認められている国ともいえます。ただ、「不謹慎狩り」や「自粛警察」など、周囲の目を意識しすぎるあまり、法的にはかなり認められているはずの「自由」をさほど感じられていないのかもしれません。今、僕たちはさらなる「自由」を獲得できる時代に生きています。リモートワークやワーケーション、多拠点居住など、自由なライフスタイルを実現させてくれる選択肢が縦横無尽に存在しています。その一方で、自由な人と不自由な人で「自由格差」が二極化しているようにも思います。