消費者庁長官の伊藤明子さんに、日本の消費の未来、SDGsへの取り組み方、そして自身の女性としての葛藤、思いなどをお届けする連載。第2回は、新型コロナウイルスの影響で加速する消費行動の変化や、伊藤長官自身がコロナ下で得た、仕事や私生活での気づきについてです。

消費者は「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」の意識から脱却

―― 新型コロナの影響で、私たちの暮らしにどのような変化があったとみていますか。

伊藤明子さん(以下、敬称略) 2020年の春以降、感染拡大による外出抑制が続き、インターネットショップやフードデリバリーを利用して買い物をする、「巣ごもり消費」が増加しました。総務省統計局「家計消費状況調査」によると、インターネットを利用した1世帯当たりの1カ月間の支出は、コロナ前の2019年は1万2821円だったのに対し、2021年2月時点は1万5781円と、約23%増えています。

 在宅時間が増えたことで、家で使う商品へのニーズが高まり、日用品や生活家電の売り上げが伸びました。さらに、ゲームや映像といったデジタルコンテンツ関連の利用時間も軒並み伸びています。これらは目に見える行動の変化ですが、もっと深いところで、消費者の意識や価値観に変化が起きていると感じています。

 それは、コロナによる世界共通の危機的問題に直面し、人々の間に連帯意識が生まれたことです。今さえよければいい、自分さえよければいいという、短期的・利己的な考え方ではこれから先、人類が生き残っていくのは難しくなる。そのことに気づいた消費者は、「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」という意識から変わりつつあると言えます。

「コロナによる世界共通の危機的問題に直面し、人々の間に連帯意識が生まれました」
「コロナによる世界共通の危機的問題に直面し、人々の間に連帯意識が生まれました」