消費者庁長官の伊藤明子さんに、日本の消費の未来、SDGsへの取り組み方、そして自身の女性としての葛藤、思いなどをお届けする連載。第3回は、男女雇用機会均等法以前に社会人生活をスタートした伊藤長官が、男性中心の職場でどのようにキャリアを築いていったのか? 自身の振り返りと後輩世代へのメッセージを語ってもらいました。

女性だからという理由で、得していた部分も

―― 伊藤さんは、1984年に建設省(現国土交通省)に入省後、2017年には国土交通省で女性初の局長(住宅局)に、19年に消費者庁長官に就任と、“女性リーダーの草分け”として道を切り開きました。

伊藤明子さん(以下、敬称略) 経歴からすると、女性リーダーのパイオニアに見えるかもしれませんが、私自身は道を切り開いた意識がないんです。目の前の仕事に必死に取り組んでいたら、今のポジションにたどり着いた感覚です。確かに、入省当時は職場に女性は私1人しかおらず、男性一色の中で仕事をしてきました。ですが、その働きぶりは、とても後輩女性たちのお手本とは言えないものです。

 正直に言うと、女性だから圧倒的に得していた部分もあったと思います。例えば、「華が欲しい」という理由で、年次が浅くても大きなシンポジウムのスピーカーとして登壇することが、たびたびありました。同じ年次の男性職員だったら登壇できない大役です。私が「女性」という理由で、アサインされたということです。

「入省当時は職場に女性は私1人しかおらず、男性一色の中で仕事をしてきました。ですが、その働きぶりは、とても後輩女性たちのお手本とは言えないものです」
「入省当時は職場に女性は私1人しかおらず、男性一色の中で仕事をしてきました。ですが、その働きぶりは、とても後輩女性たちのお手本とは言えないものです」

 ただ、そうした機会を与えられたからこそ、自分の能力以上の仕事をすることになり、つらいながらも経験値が上がりましたし、当時の自分のレベルでは到底出会えないような人と知り合うことができました。今振り返ると、当時は女性が少なかったがゆえに、「先行者利益」があったと言えるかもしれません。