「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府目標は「2020年代の可能な限り早期」に先送りされた。なぜ女性活躍社会は進まないのか。その理由と改善策について、近畿大学教授の奥田祥子さんに聞きました。

 日本政府が「2020年までに女性のリーダーを30%に」という目標を打ち出した2003年ごろに比べれば、女性活躍社会への動きは徐々に進んでいると思います。2015年には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(通称:女性活躍推進法)」が国会で成立しましたが、人々の意識まで変えるには、まだ時間がかかるでしょう。

 企業では「女性に管理職昇進を打診しても、拒まれるケースが多い」という声を聞きます。なぜでしょうか。私は3つの理由があると思います。順に説明していきましょう。

女性はスキルを磨く機会がないまま、管理職に登用される

 まず1つ目は人材育成の不備です。今、企業では女性活躍推進法に基づく数値目標、課長職以上の女性比率30%に少しでも近づけるために、数合わせで女性を管理職に登用するケースが見られます。多くの場合、管理職になるためのスキルを磨き、経験を積む機会がないまま、進められています。

 これでは、自信を持って管理職になれません。かといって、辞退すると「やる気がない」とみなされてしまう。やる気がないのではなく、経験不足で自信がなかったり、子育てとの両立が難しかったりすることが本当の理由であることも多いのです。

女性が昇進を拒むのは、不十分な人材育成・能力開発、仕事と育児との両立問題などに起因していることが多い
女性が昇進を拒むのは、不十分な人材育成・能力開発、仕事と育児との両立問題などに起因していることが多い