女性活躍には男性の働きやすさも影響する

 他にも男性には、「男は○○でなければいけない」という固定観念から、パワハラやセクハラにつながるケースも存在します。「男なら目標達成まで休むな」「男のくせにくよくよ悩むな」といった男性社会特有の根性論です。これによって、長時間労働を強いられ、家庭や人付き合いを大事にする心の余裕が持てない男性がいます。さらに、女性上司から「どうして結婚しないの?」といったセクハラを受けたり、プライベートで会うことを強要されたりして悩むケースもあります。

 併せて、男性間の支配構造にも注目する必要があります。男性社会には、組織で権威ある地位に就き、名実ともに社会的評価を得て人を支配する層と、それを目指していても実現できずに支配される層が存在し、つらい思いをしている男性がいます。

 このように、ストレス下で働くのは女性だけでなく、男性も同じです。政府が掲げている「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める」(2003年の目標設定時以降は「2020年までに」だったが、20年末に「2020年代の可能な限り早期」に変更)という目標の実現には、女性の労働環境改善と共に、男性のジェンダー不平等も併せて是正していくことが必要です。

 もし企業側が、女性を数合わせだけの目的で管理職に登用するような女性優遇をすると、代わりに管理職になれなかった男性からの不満が出ます。上司は、自身が日ごろからジェンダー平等の意識を持ち、部下の業務に対して男女関係なく、正当な評価をし、その評価や課題をフィードバックしておくことが大切です。部下も、日ごろから上司に相談や提案をする機会をもち、不平等だと感じる点があれば話せる関係作りに努める必要があります。

上司は、自身が日ごろからジェンダー平等の意識を持ち、部下の業務に対して男女関係なく正当な評価をし、その評価や課題をフィードバックしておくことが大切(写真はイメージ)
上司は、自身が日ごろからジェンダー平等の意識を持ち、部下の業務に対して男女関係なく正当な評価をし、その評価や課題をフィードバックしておくことが大切(写真はイメージ)

 ジェンダー平等の環境をつくるためのコミュニケーション法の一つとして、男女での1on1(ワンオンワン)ミーティングをお勧めします。上司と部下に限らず、同期や他部署間でも構いません。

 生活習慣や悩みなどをテーマに、男性としての意見、女性としての意見を出し合います。男性と女性で異なる悩みや考え方を知り、理解することで、共に働きやすい環境をつくる意識が高まるでしょう。男女だけでなく、育児中の人と独身の人、本部と支社の同じ役職の人など、ともすると不平等感が生まれやすい関係性のコミュニケーションにも、応用できると思います。


 全3回にわたり、女性活躍時代の現実と対策について話しました。専業主婦が広まった高度経済成長期以降、女性の多くが家事や育児、介護に専念する時代を経て、仕事と家庭の両立という選択肢が加わり、さらに今では管理職に女性を登用しようという機運が高まっています。いずれかを諦めたり、無理をしたりするしか方法がなかった時代から、現在は少しずつ変化しています。国の政策や企業努力、「ポジティブ・アクション」による改善に期待するとともに、一人一人が、ジェンダー平等の意識を持ち、違和感を覚えることには声を上げていく。社会全体が行動することで、真のジェンダー平等社会の実現は加速するでしょう。

取材・文/力武亜矢(日経xwoman) 写真/PIXTA