きょうだい5人、毎日の「くじ引き」のおかげで家事好きに

―― 吉田さんは子どもの頃、どのように育てられましたか?

吉田 いい意味で、放任主義でした。母は幼稚園の先生で、子どもの自主性を尊重する人。私は5人きょうだいで、私たちがしたいと言ったことは、何でもさせてくれました。頭ごなしに「だめだ」と注意したり、逆に強制的に何かをさせたりすることは、まずなかったです。

 そんな、自主性を尊重してくれる教育方法で思い出すのは、きょうだいで家事の担当者を決めるくじ引きです。皿洗いや部屋の掃除、窓拭きといった家の仕事について、毎日くじを引いて、担当者を決めていました。くじを引くことは、子どもにとっては遊び感覚。どの担当が決まっても「当たり!」と思えて、楽しみながら家事をしていました。おかげで私は今も、家事が大好き。振り返ると、子どもに喜んで家の手伝いをさせるための、母の作戦だったのでしょうね。

「家事を決めるくじ引きは楽しかった。今振り返ると、子どもに喜んで家の手伝いをさせるための、母の作戦だったのでしょうね」
「家事を決めるくじ引きは楽しかった。今振り返ると、子どもに喜んで家の手伝いをさせるための、母の作戦だったのでしょうね」

吉田 ただ、トイレの掃除だけは、あまり好きではありませんでした。ですが、頑張ってピカピカに磨くと、母が決まって「トイレをきれいにする子はきれいになれるよ」と褒めてくれて。うれしかった思い出として、今でも心に残っています。

家族円満の秘訣は相手を尊重すること

吉田 「相手を尊重する」気持ちのあった母は、決して独断はせず、父の意見を聞き、子供の意思を確認し、答えを出していました。

 家族だと「何でも許される」と思いがちで、他人には気配りするのに、家族には配慮に欠けたストレートな言葉を投げつけてしまうことがあります。本当は、一番近い家族にこそ、諦めや遠慮を強いていないか確認する気遣いが必要だと、母に教わりました。

 家族といっても、自分ではない「他者」であることを理解して、一人の人間として相手を尊重する。それが、家族円満の秘訣なんじゃないかと、最近思うようになりました。

 母が他界して、残された父にこの先、いつまでも笑って暮らしてほしい。だから、父の考えに耳を傾け、尊重していく。それが育ててくれた恩返しであり、子の務めだと思います。

取材・文/力武亜矢(日経xwoman) 写真/稲垣純也 衣装協力/TASAKI(吉田羊さんアクセサリー)