スタバが5時半で閉店! アメリカの格差も実感
——今回の取材でそうした地域による格差を感じた面はありましたか。
増田 ペンシルベニア、カンザス、テキサス、フロリダを選挙の取材で回りましたが、NYから郊外に行くと、ずいぶん雰囲気が違うな、寂しい感じがするなとは思うことがありました。
池上 中西部や北東部のラストベルト(さびついた工業地帯)と呼ばれる地域や地方にも取材に行ったんだよね。
増田 はい。カンザスの住宅街でインタビューしようと思っても街に人の姿がない。やっと見つけたスターバックスは5時半閉店で驚きました。そうした街に住む人の日々の生活は、家と勤務先とショッピングセンターの行き来。だからこそ、その生活を守りたいという気持ちはきっと強いし、保守的にもなるんだなと感じました。私たちが普段旅行や観光で行くアメリカは、NYやロスなど大都市が多いですよね。そうした都市だけを見ていると、アメリカの人々が何を思って、何を大事にしているのか分かりにくいなと痛感しました。
——IT企業でも、ツイッター社の大規模な人員削減がニュースになりました。
池上 2年間の巣ごもり生活で、動画配信やSNSなどは利用が急増したので大量に採用したのですよ。コロナが収まった途端、みんな外へ出るようになったら、売り上げが急激に落ちたので大量に解雇しているわけです。向こうは利益至上主義だから。
——お2人の『YouTube学園』では、取材中のNYでハロウィンの仮装をしている様子も放送していましたね。

池上 増田さんが突然やるって言い始めたんですよ。
増田 また人のせいにして(笑)。ハロウィン当日は、mRNAワクチンの開発者、カタリン・カリコ博士のご自宅を池上さんと一緒に訪れました。
池上 カリコさんの家の書棚には増田さんが書いた『世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ』が非常に目立つ形で置いてありましたよ。カリコさんは毎週のように世界のどこかで授賞式があって出席するので、研究の時間が取れないと言っていましたね。
増田 「暮らしぶりは何も変わらないのよ、夫だって変わってないでしょう」とユーモアを交えて話してくださって。翌日、私は池上さんと別れて、カンザスでカンザスビーフを、テキサスではステーキを食べました。テキサスのステーキはおいしかったですよ。
池上 いいですねえ。私はニューヨークのホテルの部屋にこもって、午前中はニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルなど新聞5紙を読んで記事をスクラップし、午後はCNNを見ながらひたすら原稿を書いていました。
増田 池上さんにとっては至福の時間じゃないですか(笑)。

