2022年のニュースのキーワードになりそうな、要チェック! のイベントを池上彰さんと増田ユリヤさんのお2人に解説してもらいました。

編集部(以下、──) 2022年、お2人が要チェックのイベントは?

池上彰さん(以下、池上) そりゃあ、上野公園の双子のパンダ、シャオシャオとレイレイの公開でしょう。

増田ユリヤさん(以下、増田) いきなりパンダから!

双子を出産した上野動物園のパンダ「シンシン」 写真:ロイター/アフロ
双子を出産した上野動物園のパンダ「シンシン」 写真:ロイター/アフロ

池上 パンダが日本に最初に来たのは、1972年の日中国交正常化記念。50年前でした。

増田 初来日のカンカンとランランは日本で天寿を全うしましたが、中国がワシントン条約に加盟して以降、来日したパンダはみんな帰っちゃうんですよね。

池上 パンダが絶滅危惧種に指定されたから、あくまでも「貸与」で、返さなければいけなくなったんだよね。中国は外交政策をスムーズに進めるために、各国にパンダを貸与する「パンダ外交」をしていますよ

増田 ドイツにもパンダがいましたよね。

池上 メルケル前首相が見た途端、顔をほころばせていたよね。でも中国は、台湾には貸与ではなくプレゼントすると言ったんです。「国内移動」だから、ワシントン条約違反にならないという理屈。巧みでしょう。

増田 パンダを盾に取って。

池上 白黒つけない。

——深いです…パンダ。

増田 2月には中国の北京で冬季オリンピックが開催されます。

池上 羽生結弦選手が出場したら、くまのプーさんがリンクに投げ込まれるのかが楽しみ。18年の平昌(ピョンチャン)オリンピックのときには大量のプーさんがリンクに投げ入れられて、私の頭にも1つ当たりましたから。

増田 でも中国では、「くまのプーさん」をネットで検索しても出てこないんですよね。

池上 きっかけは、13年の習近平国家主席と当時のオバマ米大統領のツーショットが、太っちょのくまのプーさんとひょろっと細いティガーにそっくりだよねと、中国のネットで話題になったことです。以来、プーさんの名前や画像の投稿は当局によって削除されるようになった。

人気の“外交使節団”と五輪の外交的ボイコット

増田 外交ボイコット問題も要チェックです。アメリカのバイデン大統領が外交使節団を派遣しないと発表し、オーストラリア、イギリス、カナダのトップも同様の表明をしています。

池上 オリンピックの開会式には通常、各国首脳が出席するのですが、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権問題を問題視し、少なくとも首脳が行くのはやめるということですね。ウイグル族への過酷な強制労働や不妊手術の強制など、中国政府による人権侵害が国際的な問題となっています。

増田 米国下院では、ウイグル族へのジェノサイド(大量虐殺)を非難する決議が採択されています。ナチスによるホロコーストに通じるものを感じます。

人権問題によるボイコット「外交ボイコット」も気になります(増田さん)、北京オリンピックでくまのプーさんは飛び交うでしょうか(池上さん)
【1月】
・地域的な包括的経済連携(RCEP)協定発効
・双子のジャイアントパンダ、「シャオシャオ」と「レイレイ」が公開
・Go To トラベル再開判断

【2月】
・北京で2022冬季オリンピック・パラリンピック開催
〜ボイコット問題はどうなる?〜
・中国、デジタル人民元発行(意向)

【3月】
・韓国大統領選挙
〜日韓関係は改善? さらに悪化?〜
・香港行政長官選挙