準備にとらわれすぎない。その場の声に集中する

——インタビューの前にどんな準備をしますか?

池上 資料を読み、質問項目をじっくり考えた上で、全部捨てます。質問メモなどは持たず、相手の発言に沿って取材を展開していきます。ダメだなあと思ったのは某教育委員会からのインタビュー。質問項目が全部書き出してあり、その順番通りに聞かれるわけ。あ、この話は面白く広がるのにという流れになってもそこでおしまいで次の質問。ぶつ切れの会話だったなあ。

増田 自分の常識や価値観に当てはめて、相手の言葉を判断しないことが大事だと思います。この人はなぜこう答えるのだろう? どういう人なのだろうと一生懸命考えながら話を聞くことで集中でき、インタビューも深まる気がします。そのためには準備をしすぎないほうがいいかもしれません。私自身、インタビューで相手の方の受け止め方がステレオタイプだなあ、私の意図を汲んでもらえていないと感じることはありますよ。

増田さんに3つの質問
増田さんに3つの質問

池上 効率良くインタビューを終わらせようと、最初から筋書きをイメージしてそこだけ聞いて、一丁上がりみたいな人が時々いますね。テレビのロケでも、プロデューサーに指示された通りのものが現場で撮れないから、無理やり言われた通りにしていわゆるヤラセが起きる。決めつけてしまわず、想定外の答えが出てきたらそこを面白がることは大事ですよね。