昭和レトロが若者の間で人気だったり、当時の本やレコードが見直されたりと、なぜかブームの昭和は実はどんな時代だったのか。池上彰さんと増田ユリヤさんのお2人に語ってもらいました。

バイト代も街の景色もどんどん変化した時代

編集部(以下、——)今回は若かりし日の写真をお持ちいただきました。

池上彰さん(以下、池上) NHK入局直後の頃と、学生時代の旅先での写真を持ってきましたよ。学生時代は全国のユースホステルを回って、ひとりで貧乏旅行をしました。旅が楽しかったし、いろんなところへ行きたかったわけです。

1泊2食450円のユースホステルに泊まって貧乏旅行しました

池上さんの昭和フォト

20歳(昭和45年)
20歳(昭和45年)
(左)京都の宇多野ユースホステルで。(右)京都の名刹でお茶をいただく
23歳(昭和48年)
23歳(昭和48年)
NHK入局。島根県警記者クラブ時代

増田ユリヤさん(以下、増田) 私は大学で史学科だったので歴史に関係する場所に行くことが多くて、京都・奈良や長崎も行きました。寝台特急さくらの個室を取って乗りました。

池上 個室! 贅沢〜。ユースホステルは4〜6人1部屋で、シーツを持っていけば1泊2食450円。アルバイトをしてお金を貯めてそれで旅行に行く。東京・高田馬場の建設現場で働いて日当1600円でした。ちなみに時給じゃありませんよ。

増田 私は大学時代、発掘調査してきたものの資料整理のアルバイトをしていました。日当は5500円ぐらいでした。

——すごい差が…。

池上 こちらは肉体労働、あちらは知能労働ですから。

増田 14歳差がありますしね。