今の世界を知るために知っておきたいキーワードを、池上彰さんと増田ユリヤさんが、歴史をひもときながら解説します。今回のキーワードは「夫婦別姓」。同姓か別姓かを選べる制度の実現、日本ではなぜこんなに難しいのでしょうか。

日本は民法で「夫婦は同姓であること」と規定しています。一方、海外は?
日本は民法で「夫婦は同姓であること」と規定しています。一方、海外は?

憲法ではなく、民法と戸籍法が同姓を規定

編集部(以下、──) 結婚する夫婦が同姓か別姓かを選べる「選択的夫婦別氏制度」(いわゆる選択的夫婦別姓制度)議論が盛り上がっています。そもそも夫婦が同姓でなければいけないというのは、いつ始まった制度ですか。源頼朝と北条政子など、日本史には別姓夫婦が結構いますよね。

増田ユリヤさん(以下、増田) 平民が苗字を名乗れるようになったのは明治以降です。明治民法で家制度ができ、戸主と家族は、家の氏を称することや、家ごとに戸籍を作ることが決められました。

池上彰さん(以下、池上) 明治民法は戦後に改正され、婚姻届を見て分かるように、夫婦は結婚で「新しい戸籍」を作ることになりました。だから、「入籍しました」という結婚報告は間違いなのです。相手の戸籍に入るのではなく、新しい籍を2人で作るのですから。昔ながらの家制度の概念が、まだ社会に残っているのですね。

増田 後継ぎを産めとか、男の子を産んでくれてよくやったとかいう価値観もいまだにあるのでは。「戸籍を汚す」という言葉もありますね。

池上 バツイチという言い方もそこから来ている。離婚をすると戸籍にバツが付くから。

「夫婦別姓を命じる法律」がある?
⇒民法第750条で、夫婦は、婚姻の際に夫又は妻の氏を称すると定められている
現在の婚姻届
現在の婚姻届
※婚姻届は法務省ホームページより。編集部で一部を抜粋