フリーでも道は開ける?こじ開ける?

池上 ロールモデルになるような先輩がいるかじゃないかな。私がNHKに入社したとき、新人研修に講師として来たのが、当時NHK社会部のデスクで、現在はノンフィクション作家の柳田邦男さんです。かっこよかったですねえ。社会部の記者として取材しながら本も書かれて、「すごいなあ」と。その柳田さんが38歳で退社し、フリーのジャーナリストになられた。私の早期退職も、「柳田さんの足元にも及ばないかもしれないけれど目指したい」という気持ちがあったのかもしれません。

── やりたいことはどうしたら見つかりますか?

増田 私は取材することが好きなので、そのとき関心があることに向かって取材に行きます。

池上 本人がよく「野性のカン」って言うんだけど、はたで見ていても増田さんは、これからの世の中の動きに人より早く気づくセンスがあると思います。フィンランドの学校教育もヨーロッパの移民問題も、まだ誰も関心を持っていない頃からずっと追いかけている。だから、他の人にない蓄積がある。

増田 気になることがあると、依頼がなくても自腹で現地に出かけて取材するということを続けてきましたね。

池上 それが今につながっているということですね。私は60歳で還暦を迎えたときに、人生ひと回りしたな、ここからは社会に恩返しをする番だと考えました。これまで得てきた知識や見方を若い人に伝えたい。そう思っていたタイミングで大学で教える仕事を打診されたのです。ですから、今の仕事の優先順位は第一に教えること、取材に行ってそれを本に書くこと。テレビの仕事はその合間です。

── フリーを続けていく上で心がけていることは?

増田 できないものはできないと言うことですね。ただ、若い人から仕事を頼まれると、「そうじゃないでしょ」と思うようなことがあっても、どう答えてあげたら、相手が組織で及第点をもらえて、なおかつこの問題に気づいてもらえるかなと意識して仕事をしています。

池上 フリーは自分で自分のブランドを維持することが大切です。私の場合は、ジャーナリストとして、コマーシャルには出ない、バラエティーやクイズ番組には出ないと決めています。

増田 健康であることも大事ですよ。体を動かしていると精神的にも健康になれますよね。私は基本的に毎日、犬の散歩で7〜10kmぐらい歩いたり、走ったりしています。

池上 増田さんの場合、散歩っていうスピードじゃない。小走りか競歩だね。

増田 犬が後からついてきます。(笑)駅でも気がつくと階段を選んでいますよ。